世間では盆休みも終わるころ、またもや“米国向け超電導ケーブルが出航!”(英文では3-in-One Superconductors Are Go!) というニュースが住友電工から世界に配信された。
8月17日早朝、神戸港を出発した2つ(320 mと30 m)の “Superconductor Drum”は、“Superconductor Dream”「21世紀の超電導送電の夢《をのせ、太平洋の荒波に乗り出した。まさしく、高温超電導にとっての「ダーウィンの海《に挑むようである。このケーブルはPanama運河を通る世界で初めての超電導ケーブルになる。そして、9月にはNew York州の州都であるAlbany市に至り、建設が始められるという。
今回出荷された超電導ケーブルは長さ350 m (320 m + 30 m)、電圧AC 34.5 kV、電流800 A、三心一括型ケーブルで、ケーブルシステムは、端末、ジョイントを含んでいる。本ケーブルは、同社が開発した新しい製法(加圧焼成法)で製造されたビスマス系超電導線材を用いて製作されている。このケーブルシステムは、Niagara Mohawk 社のMenandsとRiversideの2変電所間を結ぶ2マイルの実線路の途中に組み込まれ、その間350 mの6インチ(約150 mm)の地下管路に超電導ケーブルが布設される。また、片側端末から30 mの部分に、世界で初めての超電導ケーブルジョイントが設けられるという。そして、来年初頭には実系統に接続した長期試験が開始される予定である。
「8月8日にはブッシュ大統領がエネルギー法案に署吊し発効し、米国でのエネルギービジネスは益々重要になってきている。米国では過去何度かの大停電を経て、強固な送配電網の構築が必要であり、超電導ケーブルをそのキーテクノロジーとして捉え、実用化のための3つのケーブルプロジェクトが同時に進行している。その中でこの超電導ケーブルが計画通りに運転される最初のものである。《と同社超電導開発室の山田雄一主席は語った。
図2 Albany向け超電導ケーブル
(C3・CO)