シーメンス社とASC社は、1990年代初め以来FCLの開発に携わっており、入手出来るHTS材料の異なる配置を利用してきた。同社は2000年にFCLの開発を中止した。その時最初のR&Dは線材が法外に高価であることに加えて、1G線材はFCL向けの適当な電気特性を持たない事を示したからである。ASC社の技術者は、自社の2G線材はHTS FCLの要件により適合していると考えており、ASC社はFCLが市場で生き残れるほどに線材コストを低減出来ると主張している。
IGC社とNexans Superconductor社は、メルト・キャスト法バルク超伝導体(これは超伝導体の焼搊リスクを低減する為に開発された技術の一部である)を用いて、FCLを開発中である。その超伝導材料が既存の技術を用いて製造されるIGC社 / Nexans社とは違って、シーメンス社 / ASC社のFCLコンセプトは2G線材を低コストで大量に製造出来る能力を断言されており、大きな技術的チャレンジを提供する早業とされる。これら両アプローチは、多数の材料科学及び高電圧工学問題、その他障害物に直面することになるだろう。
ASC社によれば、機械的補強及び追加的熱容量のためにステンレススチール(SUS)を積層した安定化材を使用する事は高価になろう。1G線材に基づくFCLは、30,000 cm3即ち10.7 kmの線材を必要とする。10 $ / mの1G線材を用いると、標準コスト目標は達成できそうもなく、線材だけのコストが107,000 $、その他を含めた全体FCLのコストは200,000 $と予想される。
正当な電気的ならびに機械的仕様と共に、もし2G線材を2~4 $ / mで製造出来れば、状況は全く異なったものになるだろう。2~4 $ / mの2G線材13.6 kmを用いるとすると、目標2G線材コストは少なくとも2.7~5.4万$、即ち1G線材コストの約4分の1~2分の1になるだろう。
ASC社は、2G線材を用いるHTSコイルについて、直列及び並列型抵抗性FCLコンセプトを検討した。直列抵抗型FCLは、並列抵抗型FCLに比して単純さの有利性を持つが、並列型FCLは、潜在的に近接時間内に起きる多重限流動作にたえる動作上の有利性を有する。ASC社は、インダクティブ限流器は考えていないが、そのケースでは抵抗性FCLほど単純・コンパクトかつ低コストとは考えていない。
ASC社は、HTS型限流器応用の特別の要件を心に留めてコーティド導体を開発中である。同社のFCL向け2G線材は、機械的に強く、電気的且つ熱的に安定するように、0.5 mmの薄いSUSテープに積層される。ASC社は、適当な積層技術を成功裡に開発し、良好な機械的特性を持つサンプルを出荷している。ASC社及びシーメンス社は、最近試験的に製造している10 m長の2G線を用いてFCL開発を開始するようである。
(高麗山)