SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.13, No5, October. 2004

5. アジアでも高温超電導ケーブルの本格的検討が始まる_住友電工_


 住友電工は、韓国電力公社電力研究院(KEPRI: Korea Electric Power Research Institute)から、超電導ケーブルシステムを受注した、と発表した。受注総額は約2.4億円で、2005年春に現地布設、2005年夏に竣工の予定。今回受注したシステムは端末、冷却システムも含み、紊入するケーブルの仕様は、長さ100 m、電圧22.9 kV、電流1250 A、三相一括型で、同社が今年、本格稼働させた加圧焼成法で製造されたビスマス系(Bi2223)超電導線を用いて製作される。

 本システムはKEPRI試験場内に設置され、種々の試験が計画されている。

同社の超電導開発室・増田プロジェクトリーダーは、「韓国では都市部を中心に電力需要の伸びが大きく(4%台)、送配電設備を増強し電力系統の信頼性を向上させることが課題のひとつとなっている。しかしながら、地下共同溝や管路等での余剰スペース上足や建設ルートの確保難などがケーブル増設の障害となっており、従来のケーブルに比べて細い外径ではるかに大容量の電力を送ることが出来る高温超電導ケーブル技術の適用が期待されている。本件は電力搬送用高温超電導ケーブルとしては、世界で初めての商業契約であり、アジア地区での超電導ケーブル実ビジネスの足がかりを作っていきたい《、と抱負を語っている。

また、同社の超電導開発室・林プロジェクトリーダーは、「今年本格稼働した加圧焼成法は、所期の目的である、ロバストで長尺・高性能・高歩留のBi2223超電導線の生産を期待どおりに達成しており、社内の電力ケーブル用に留まらず、幅広いお客様にお使い頂き、その性能を認識頂き始めている。高温超電導の用途は、軽量化や小型化が必要な移動体分野、最先端の機器分野で必須となってきており、今後もIcの200 A化への改善、単長の増大、コスト低減へ向けて努力していきたい《、と今後の開発へ手を緩めることなく進める考えを明らかにしている。                                          

                               

(ハナマルキ)