SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.13, No.4, August. 2004

8.高性能第2世代線材に関する重要製造技術開発の指標を達成_ASC社_


 7月27日、ASC社は高性能第2世代高温超伝導(HTS)線材の重要製造技術開発の指標を達成中と発表した。米国エネルギー省(DOE)ピィアミーティングでデータを報告しながら、同社はこれら最新の成果に基づいて製造のスケールアップ計画の実施も開始したと発表した。

ASC社は、330 Aの電流性能を達成した。これは、DOEが第2世代(2G)HTS線材向けに設定した商用性能300 A/cmを10%上回るものである。銅を積層した当線材は、中立軸構造を持ち、商用応用に必要な優れた強度と耐久性を有している。ASC社はまた、以前に報告した線材の3倊長い中立軸構造を有する30 m長線材について、両端間の臨界電流が160~185 Aの範囲に入っていたと報告した。(WASHINGTON.July 27/PRNewswire-FirstCall/)

DOEのDavid Garman氏は、「上記の成果は、もっと安全な送電線ネットワークを創り出し、大規模電気機器の電気効率を高めていく過程における大きな里程標である《と述べている。

ASC社副社長のAlex Malozemoff氏は、「非常に高い電気的性能と同時に更に長くなった線材長は、注目に値する。我々の製造力開発戦略を今回確認しており、今や我々は2G HTS線材製造計画の次フェーズを成功裏に実施するのに好位置にあると思う。次年度には、高性能で商業的に通用する中立軸構造2G線材を相当量製造できるよう期待している《と語った。

ASC社社長のDavid Paratore氏は、「我社は、2G線材製造工程を2段階でスケールアップすることを期待している。第一段階では、2005年春までに現在の2G開発設備をプレ・パイロット製造ラインへ転換を完了して、2006年3月に終わる年度中に10,000 m以上の2G線材を製造する予定である。第二段階では、全パイロット製造にスケールアップして、2007暦年の終わりまでに年産約300,000 mの2G HTS線材を製造する計画である《と語った。

すでに予算化された資本支出とプレ・パイロット製造ライン向け費用は、500万ドルより少ないと予想され、2005会計年度中に大部分が支出されるだろう。ASC社から以前に発表したように、パイロット製造の運転費は2006会計年度の初めに1500~2000万ドルが予想される。

Paratore氏は、「現在、ASC社は自社の商用第1世代(1G)HTS線材に対して550,000 m以上の注文を受けており、2005会計年度中に製造・出荷する予定である。ASC社が製造する1G HTS線は、線長が1000 m以上であり、臨界電流は世界最高の350 A/cmである。今やASC社は、2007年末までにパイロット製造段階に於いて、1000 m長2G線材製造へのスケールアップ達成を期待している。これは、第2世代(2G)から第2世代(2G)への市場転換の開始を示すものとなろう《と語った。

ASC社は、プロトタイプ2G HTS線材を過去6ヶ月間に数回に亘って米国、日本、ドイツの顧客に出荷してきた。次の1~3年間にプレ・パイロット及びパイロット運転で製造される2G線材は、SuperVAR™シンクロナスコンデンサー、モータ、発電機のような次期商用応用とプロトタイプ電力ケーブル、磁気浮上列車、MRIシステム等への使用を目標にしている。

Paratore氏は、「ASC社の新しい高性能特性を達成するのに用いられた2G線材製造プロセス特許は、モジュラー方式である。このプロセスを用いて、当初の製造ラインに容易にモジュールを追加出来る。そして、顧客の要求が増え続けるのに応じて、総合的容量を増加出来る。

これらの行動と資本投資レベルを制御することによって、将来における需要の成長に対応する上で我々は極めて良好な地位を占ることができるだろう《と語った。                     

                               

(こゆるぎ)