ASC社技術担当常務のAlex Malozemoff氏は、「この新たに認定された特許は、今日のHTS線材の商用的応用の全てに適用される。この特許は、極めて強力である。何故なら、当特許は米国特許庁の14年以上に亘る審査に耐え、世界中の多数企業からの膨大な法制的挑戦に打ち勝ったからである。この中核的特許は、我が社のHTS製品市場に於ける指導性を一層補強すると共に、数100件の特許、特許申請及び特許許諾からなる我々の知的所有権ポートフォリオを非常に強めるものである。《と語った。
当特許が規定する組成は、少量の鉛を添加したビスマス、ストロンチウム、カルシウム、銅及び酸素を含んでいる。当組成は、Bi+Pbで2.1原子、Srの2原子、Caの2原子及びCuの3原子を含む。今日、商用的に使用されている超伝導体の正確な組成は、若干過剰なBi+Pbを含んでいるので、より正確な組成比は2.1:2:2:3である。それ故、当特許は今日の主要な超伝導材料をカバーするものである。米国の同業他社は、ASC社がサブライセンスを与えない限り、第一世代のHTS線材を販売することはできない。住友電工とは米国及び欧州地域に於いて第一世代線材に関するクロスライセンス契約を結んでいる。但し、YBCO系第二世代線材は当特許の範囲外である。上記記事について、科学技術振興機構理事の北澤宏一氏は「本特許は鉛を添加して臨界温度の高いBi2223相を安定化させるための組成に関するもので、確かに重要なものである。ASC社がニュージーランドIRLのTallon氏らによって提出された特許を独占的に購入したことによって同社の立場が強化されたことは間違いない。これによって、住友電工とASC社の2社がビスマス2223線材では世界を分け合う構造となりそうである。《とコメントしている。
(こゆるぎ)