コロイドプロセスによる強磁場中配向において、用いるサスペンションは体積分率が大きいほど緻密な試料ができる。しかし、大きすぎても粘性が大きくなり配向しなくなるため、粘性が最も小さい30 vol%の条件でスリップキャストを行い強磁場中成形アルミナ(室温、10T)が作製された(図1)。スリップキャスト後1200、1600、2000°Cにおいてそれぞれ2時間空気中で焼成した試料についてX線回折により配向度が調べられており、焼成温度が高いほどは強く配向し、同時に相対密度も100%に近づく傾向を示すことが明らかになっている。しかしながら1200°C焼成では配向度、相対密度ともに低下するという。このことより粒成長と配向度はリンクしていることがわかり、粒径が配向度を決めていると述べられた。
最後に磁場中電気泳動堆積(EPD)法について説明があった。これは磁場によって磁化容易軸に粉末結晶の方位がそろっているスラリーに対して電場を与えることにより方位をそろえたままスラリーを堆積させることができる(図4)。電極板の向きを変えることによって磁化容易軸に対して任意の向きに堆積させることができるため、汎用性の高い配向プロセスであり高次組織制御を可能にするプロセスとなる。異方性をもつ物質に対して有利な結晶面を自在に制御できるため、今後の応用が楽しみである。
図2 引っ張り変形加工前後の10Vol%TZP-Al2O3
図3 0.20Wt% Al2O3—doped TZPの超塑性
図4 ±45°交互配向アルミナ積層コンポジット
(ΩS)