DOEは、国研・メーカー・ユーザーの連繋を目指すSuperconductivity Partnership Initiative(SPI)プログラムの一環として本プロジェクトの先導者にSuperPower社を指吊した。EPRIは、以前MFCLプロジェクトの為に0.6Mドルの支出を約束しているが、その完成は2006年に予定されている。IGC社社長のG. H. Epstein氏は、「約3年位の内に、幾つかのプロトタイプを開発して、送電系統の変電所内に138kVのマトリックス型HTS限流器の設置を了えることを期待している。本件は、最近では政府から資金援助を与えられている当社の2番目に大きなHTS実証プロジェクトである。これは、新しい戦略的な提携の貢献と結び付けて考えると、IGC社のコスト負担をある程度抑さえる一方、我々が重要なプロジェクトで指導的役割りを果たすことを意味する《と語った。Nexans社超伝導体事業部長のJ. M. Saugrain氏は、「我々は、超伝導体研究・開発の長い成功物語を持っており、我々の特許技術(melt-cast法)がMFCLを成功に導く為の重要な要素になると思っている。SuperPower社との提携は、両社特許技術の非常に論理的で補完的な組み合せを示しており、最終ユーザーの利益になるものである《と語った。
エネルギー長官の上級政策アドバイザーであるJ.Glotfelty氏は、「DOEの米国送電系統研究(2002年5月)は、米国内の送電系統が次の10年間に亘って経済が要求する信頼性標準に達しないことを明らかにしている。その一例として、落雷のような予期せぬ出来事による大電流擾乱の強度が増大しており、系統の信頼性に打撃を与える可能性が高まっている。限流器は、これら過大な電流レベルから現在偶々起こっている機器搊傷を防ぐ全く新しい形式の系統保護装置である《とコメントした。 主要なDOE国立研究所の3つ(アルゴンヌ、ロスアラモス、オークリッヂ)も同じくこのプロジェクトに参加が予定されている。彼らの高電圧、低温技術及び解析技術における優れた専門性は、SuperPower社とNexans社内の技術的技能を補足すると期待される。
SuperPower社会長のP.J.Pellegrino氏は、MFCLプロジェクトは、普通に採用されている線材ではなくて、Nexans社のmelt-cast法超電導体を採用するように設計されている。と言うのはMFCLが要求する極めて高い電流容量の故である、と語った。同氏は、「Nexans社は、melt-cast法超電導体の世界的先進製造者であり、我々の高度に特許的デザインにとっては最重要の貢献者になるだろう。これらの線材を、我々のMatrix特許技術と組み合わせれば、送電系統レベルの電流で起こりうる焼搊リスクに対抗できる新型限流器を生み出せるだろう。新型限流器は、ユニークな技術を採用して、事故電流*落雷や電流短絡によって数分の1秒以内に引き起こされ、高い電流波高値を持つ*が限流した後、自動的に電流をリセットして、即座に引き続く電流脈動に備える機能を有している《と語った。さらに同氏は、「近年電力業界では、回路遮断器、限流リアクタンス及び高インピーダンスによって事故電流から彼らの諸機器を守っている。送電系統網が増強されるか新世代の送電線が設置された時は、事故電流が既設の保護装置の能力を超えて増加する可能性が高く、能力アップの施策が必要になろう*ある場合には新変電所の建設かあるいは回路遮断器の全面代替を行うので*高額の費用が掛かりそうである。問題は、138kVかそれより高い送電電圧ではもっと深刻なことである。その電圧階級では、従来の解決策は、コストが過大になるか単純に適用上可能である《と続けた。
註1:Nexans社について
Nexans社は、ケーブル工業に於ける世界的リーダーである。同グループは、広範囲の先進的銅及び光ファイバーケーブル技術を経済基盤、産業界及び建築市場に提供している。同社は、28ヶ国に工業的拠点と65ヶ国に営業的拠点を有し、17,150人の従業員により2002年度の年商4.3億ユーロあるいは4.9億ドルを挙げている。
(こゆるぎ)