JR東海ならびにJR総研発表のプレスリリース資料等の各種情報をもとに、最新の超電導リニアの開発状況について報告する。
1.時速581km達成
研究員十数吊を乗せた3両編成のMLX01は、冬晴れの澄み切った青空のもと、最高速度トライアル走行(2回)に挑み、13時28分と13時54分に高川トンネル内にてそれぞれ時速581kmを無事達成した。時速580kmまでは1分半余、距離にして9km弱の加速であった。また、約5秒間、時速580km以上を保持した。実験センターの指令室では記録達成を確認すると、走行の様子を見守っていた所員や関係者から一斉に拍手が湧き起こった。広報担当の話によると、今後これを上回る速度向上試験の予定はなく、今回の記録をギネスブックへ申請するそうである。
山梨実験線におけるこれまでの速度向上の経過を以下に記す。
1997年 4月3日 走行試験開始(車輪走行100km/h)
同年 12月24日 無人走行で設計最高速度550km/hを達成
1999年 4月14日 有人走行で552km/hを記録
2003年 11月17日 無人走行で560km/hを記録
同年 11月19日 有人570km/h、無人579km/hを記録
同年 12月2日 有人走行で581km/hを達成
2.その他の走行試験
11月7日には、1日の走行距離としては過去最長となる2,876kmを走破した。これは、朝7時から夜9時過ぎまでほぼ連続的に走行試験を重ね、実験線を89往復して達成したもので、営業線時の車両運用へより近づける意味合いを持つ。また、宮崎実験線時代を含めて初めて夜間に走行したことになるが、「暗闇にヘッドライトが一線に映える幻想的なリニア《というような見学者の感想も聞かれた。
なお、2003年末までの累積走行距離は、335,675kmに達している。
3.今後の計画
2003年4月、国土交通省の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会は、「実用化のための基本的な技術の確立が着実に進捗している《と評価した。現5年開発計画での最終年度となる2004年度末には、これらの走行試験結果を踏まえて、最終的な評価がとりまとめられる見込みである。
JR東海の話によれば、今回最高速度記録を達成した先頭車両(Mc1)は、2005年3月から開催される愛知万博(JR東海リニア館)にて、展示公開される予定であるそうだ。
なお、JR総研およびJR東海のリニア関係者は「リニアを乗り物として成熟させるための技術開発としては、もうやるべき事をやり尽くした感慨がある。後は建設財源の調達や技術基準の策定など、営業線着工に向けての詰めの作業を行うのみだ《とコメントしている。
図2 最高速度記録達成記念撮影
(MAG-fan)