SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.12, No.4, Aug. 2003

5.次世代線材を用いたケーブル導体で商用性能を達成!
_米国ASC社_


 去る7月24日に開催されたDOEの超伝導技術評価会議でAmerican Superconductor Corporation(ASC)は、自社製第2世代(2G)HTS線を用いたケーブル導体がオークリッジ国立研究所(ORNL)にて行われたテストで、予想値を50%以上超過する性能を示したと発表した。電力ケーブルの中心的構成要素である本ケーブル導体は、Ultera社(米国Southwire社とデンマークのNKT社間の合弁会社)がORNLの協力を得て製作した。ORNLのテスト結果により、1.25m長の本導体は世界最初の2Gケーブル導体として、商用レベル(2000A以上のAC値)の性能達成が実証されたもの(July24/PRNewswire-FirstCall)。

 エネルギー事務局に対する上級政策アドバイザーのJimmy Glotfelty氏は、「ORNL、Ultera社及びASC社は、超伝導電力ケーブル技術(米国の送電系統の将来にとって必要上可欠の技術)の実証に於ける大きな第一歩を踏み出したと言える。我が国の電気・電力基盤を向上させることは大きく重要な課題である。数多くの第1世代HTS電力ケーブルプロジェクトが計画され進行中であるが、今回初めての第2世代線材実証に於いて好結果を上げたことは、超伝導技術が将来に亘って電力需要を満たすのに決定的な役割りを果たすだろう、と云う我々の確信を強めるものである」と語った。

 ORNLとUltera社は、液体窒素で冷却された本2Gケーブル導体にACモードで2500Aの電流を流すことが出来たと報告した。これは、当初の目標1600Aを遥かに上回るものであった。米国の送電系統は、ACモードで運転されているので、ACモードで商用レベルを達成したことは特に重要である。DCモードでは、ケーブル導体は4200Aまでテストされた。ケーブル導体のテストは、2003年7月ORNLにて行われた。当第2世代HTSケーブル導体の他の特性を評価する追加的テストは、ORNLにて現在進行中である。

 ORNL超伝導プログラム部長のRobert Hawsey氏は、「ケーブル集合に特有の荒っぽいハンドリングに耐えて、なお過酷なテストに於いて顕著な性能を示すASC社製第2世代HTS線材の能力には強く印象付けられた。これらテスト結果は、2G技術の開発に於ける分水嶺的出来亊を印すもので、HTS技術の膨大なポテンシャルを理解している我々を勇気づけるものである」と語った。ASC社副社長のAlex Malozemoff氏は、「過去2~3ヶ月間に、我社の第2世代線材開発に於いて、重要な追加的前進があり、今回の素晴しい結果に満足している。商用的品質及び量の第1世代線材を出荷する我社の能力で当工業界をリードしており、信頼性の有る高性能2G線材の出荷成功は、我々を羨ましい程の位置に引き上げている。即ち、パイロット生産の予行とそれに続く2G線材を市場へ出荷する次のステップとして」とコメントした。

 ASC社の工業界主導の第1世代HTS線材は、今日商業的生産段階に在る。ASC社は、自社が実用規模の電力応用向けに大量の2G線材を生産するまでには、3年の期間を要すると予測している。ASC社の第2世代HTS線材は、第1世代線材に対して形態適合・機能代替型として設計されており、2分の1~5分の1の低コストで同様かより高い性能が得られると云う。(ASC社の第1世代及び第2世代HTS線材の詳細は下記を参照のこと。http://www.amsuper.com/html/products/htsWire/)

(こゆるぎ)