この実証試験は、電力中央研究所 横須賀研究所で実施することが決定しており、ケーブルの製造と布設を古河電工が担当して、電力中央研究所が試験を実施する。
電力ケーブル用の地中系統は、マンホールの長いものでは500m間隔で設置されているという調査結果から、長さ500mの超電導ケーブルができれば実用化への第一ステップとなる。また、実用化する上でユーザが要求する特性を検証する試験とするために、実証試験の布設レイアウトも、ケーブルの布設を模擬した5mR曲げ、内径150mmの地中管路への布設、10m高さの高低などが設けられている(図1)。
この500m超電導ケーブルは、Bi2223銀シース線材を導体として絶縁に液体窒素を含浸させた多層絶縁紙を用いる極低温電気絶縁タイプの単心ケーブルで、1本の導体が1本の断熱管に収紊されている。断熱管は、可とう性を有する2重の直径の異なるコルゲート管の間に、スーパーインシュレーションを収紊して真空状態にする真空断熱タイプである。ケーブル運転時のロスを減らすために、断熱管は低熱侵入を実現する必要があるが、古河電工では断熱層の最適化などを行ない1W/mの低熱侵入を実現している。
さらに、500m超電導ケーブルの事前検討として、ダミーコア入りの300m長さの超電導ケーブル用断熱管(図2)を製造し冷却試験などを実施し、熱侵入やその他断熱管および超電導ケーブルとして各種のデータを得ることができた。本プロジェクトに係っている古河電工環境・エネルギー研究所の向山晋一主査は、「約100mの内径を持つ断熱管で1W/mの低熱侵入を実現できたこと、さらに製造ラインで500m級の長尺の超電導ケーブルを製造する技術を確立できたことは、超電導ケーブルの実用化に向けて大きな成果を紊めることができたと言える」とコメントしている。
図2 500m超電導ケーブル実証試験レイアウト
(ネアンデルタール人)