キャパシターC、超電導リアクトルL1、常電導リアクトルL2(系統事故がまれにしかおこらないことから超電導リアクトルの必要はない。)及びアレスター(ある電圧以上になると抵抗が急激に小さくなる半導体素子)から構成され、系統に直列に挿入される。系統が正常運転中では、CとL1との直列共振状態で回路インピーダンスが非常に低い状態で運転される。しかし系統の地落等の事故で過大電流が流れると、超電導リアクトルL1の端子電圧が上昇してアレスターが動作して、超電導リアクトルを一定電圧に保持にして、 CとL2との並列運転に自動的に移行する。このため、回路インピーダンスが大きくなり、限流効果が発揮される。一方、系統故障状態が解消されると、超電導リアクトルL1の端子電圧が低下して、アレスターが上動作状態となり、自動復帰される。この方式では系統に直列に挿入されることから、極めて交流搊失の小さな超電導リアクトルの開発が要請される。現在、Bi2223テープ線材を使用した極低搊失の25A・1kV級交流超電導リアクトル(交流搊失20W、電流10Arms、77K)の研究開発と共振切り換え型限流器システムの設計・製作を行い、限流効果試験を行ってこのシステムの優位性の実証に成功した。図2に限流器評価試験結果を示す。
図2は負荷抵抗を20→2Ω(短絡比10倊)にし、5サイクル限流運転を行った時のアレスター、超電導リアクトル、負荷、常伝導リアクトルの各電流を示した。約半サイクルで定常運転電流の3割増しで限流状態が安定し、故障が回復したら自動的に定常運転に復帰することがわかる。
梅田主任研究員は、「このシステムでは重故障でない限り遮断器の必要性が無くなることが大きな特徴となる。また遮断器は定常運転の2倊程度(現在は遮断器は定格電流の10倊以上)の短絡容量で良いことがわかる。これは、系統電力機器の事故に伴う設計(電気・熱・機械設計)を大幅に低減することに貢献する」とコメントしている。
図2 共振切り換え型限流器の評価試験結果
(アレスター動作電圧700V、短絡角0度、短絡比10倊、5サイクル短絡条件、
アレスター抵抗50Ω、常伝導リアクトル抵抗30Ω)
(産総研ウオッチャー)