SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.12, No.2, Apr. 2003

9. 300m長HTSケーブルの実証と商用化を推進する合弁会社ULTERAを設立!
_Southwire会社、NKTケーブル会社_


 Southwire会社及びNKTケーブル会社は、この度ケーブル開発を続行し商用化を進めるため合弁会社を設立した、と発表した。ULTERAと呼ばれるこの合弁会社は、300m長のHTSケーブルを設計・製作し、2005年遅くにはオハイオ州コロンバス市のアメリカ電力(AEP)が運用する送電系統中に設置する予定。両社は、SPIプロジェクトの下米国政府エネルギー省(DOE)とケーブル開発費を折半するとのこと(Superconductor Week誌2002年12月18日号)。

 上記発表に関連して、Southwire会社社長のStuart Thorn氏は、「世界でただ2つの実稼動のHTS送電システムを開発した後、Southwire会社及びNKTケーブル会社は正しくこの新しい技術の前線で運転を続けている。このたびの協調関係を通じて、我々の技術的専門性を相乗し、我々が利用できる資源を拡大して、両社の力を最高効率で活用できるであろう。」と語った。

 合弁会社ULTERAは、ジョージア州キャロルトン市とデンマーク国コペンハーゲン市にある工場施設を所有し、両工場でHTSシステムについて長年の経験を有する25吊の作業員を擁している。3年前、世界初のHTS電力輸送システムを公開したSouthwire会社は、新設計の1m長及び5m長のケーブル開発をすでに了り、オークリッジ国立研究所で試験を行っている。当ケーブルは、1本のケーブル中に3相を包含するものになるようである(3相全同軸型設計)。

 ULTERA会社取締役のDavid Lindsay氏は、「新しい設計により、幾つかの有利な点が出ている。第一に、以前の設計で必要だった超伝導線材量の略半分に使用量が減っており、第二にHTSシステムの設置に要するスペースも縮減できた。」とコメントしている。

 設計は変わったが、当ケーブルの基本的動作はまったく同じである。中空パイプがケーブル芯を形成する。超伝導テープの1層がこのパイプの周りに巻かれ、続いて電気絶縁層が巻かれる。超伝導テープの第2層が加えられ、第2相の導体として働く。更にもう1つの電気絶縁層が巻かれ、このプロセスが繰り返される。最終のケーブルは、銅シールド内に巻き込まれ、2重のステンレススチール製パイプ中に引き込まれる。液体窒素が当パイプの内部を循環する。ステンレススチール製パイプの2層間は真空に保持され、当ケーブルにとっては熱絶縁の機能を果たすように構成されている、と言う。

(こゆるぎ)