“SuperVar”変換器は、AC送電線を通じる安定な電力の流れを保証するために必要なリアクチイブパワー(VARsで表される)を供給するものである。本変換器は、ASC社特許のHTS電動機・発電機技術に基いている。5台すべては、TVA公社が資金的援助をした原型モデルであり、2003年11月TVA公社の送電系統に設置される予定である。最近、TVA公社は他のASC社製系統安定化装置を運転している。

　電力会社及び送電系統運用者は、既存の送電線系統網に歪みを与える電力需要の増大に直面している。そして税金が過剰に送電線に賦課され、電圧降下や停電に結びつく可能性が高く、その結果は往々にして高価で、破滅的である。“SuperVar”変換器は、既存の送電線系統網を最適化する為の低コストで柔軟な解決手段を提供するものである。

　｢米国内の電力需要は、毎年増大しており、我々の顧客はデジタル化経済に急かされて、より高い信頼性とより良質の電力を要求しつつ有る。｣とTVA公社副社長のTerry Boston氏は語った。そして｢今まで、無効電力(VAR)供給に対するニーズは、コンデンサー及びパワーエレクトロニクス装置を含む種々の手段により満たしてきた。“SuperVar”変換器は、電力輸送システムに於いて広範に使用されている同期コンデンサーの既存技術を現代風に再生するものである。それは、我々の送電系統の送電能力と信頼性を高めると思う。既存の送電施設の能力を最大限引き出しながら、顧客が必要とする信頼し得るサービスの提供を持続できるだろう。｣と続けた。

　ASC社社長のGreg Yurek氏は、｢本製品は、HTS電動機と発電機の最新の台座から開発され、顧客のニーズに直接対応するものである。我々は、6ヶ月以上前にTVA公社の技術者とビジネス管理者と共同作業を開始し、VAR供給に対する顧客のニーズを満たす為、より良い且つより低コストの方法を創出した。“SuperVar”変換器は、HTS技術に対する全く新しい市場を切り拓くだろう。当機器の導入は、米国内で向う10年間に予測される新送電対策投資の急増と極めて良く符合している。｣と語っている。

　SuperVar製品シリーズは、動的リアクタンス性電力補償装置即ちdynamic-VAR(D-VAR)と分布型超伝導エネルギー貯蔵システム(D-SMES)などASC社の送電系統用機器製品シリーズを補足するものである。“SuperVar”変換器は、過渡現象問題に余裕を保ちつつ、dynamic-VARを連続的に定常供給する為、特別に設計されている。これと対照して、ASC社の”PowerModule”電力変換器に基づくD-VARシステムの方は、もっと特殊な既存あるいは公知の過渡現象問題に着目して、出力を制御することにより局部的電圧降下問題を解決すべく設計されている。D-SMESシステムは、工業用及び送電系統設備に実効電力を供給する。それと同時に、これらの製品によって電力会社は夫々の環境に於いて、個々の連続的あるいは過渡的必要に対する解決策の最適化が可能となる。ASC社の送電計画及び販売部門の共同チームは、各ケースに対する最適解決案を検討・決定する為に、電力会社及び送電系統運用者と共同作業を行っている。

　同期コンデンサーとは、AC送電系統中を電気が安定して流れる為に必要なリアクタンス性電力を生み出すAC同期回転機のことである。ASC社特許のSuperVar変換器は、ASC社製HTS線材で巻いた新しい高密度ローターコイルと釣り合いを取って、標準同期コンデンサーの枠組みとステイターコイルを採用することにより、既存技術を改良したものである。その結果、典型的な高いローター保守費用もない、従来回転機より高効率の同期コンデンサーが生まれた。更に、HTSローターによりこれらの機器は短時間では、定格容量の8倊まで耐えられる。これも、連続的および過渡的無効電力の供給が可能なSuperVar変換器の特徴の一つである。

　ASC社副社長のDavid Paratore氏は、｢船舶推進用電動機・発電機と同様に、動的同期コンデンサーはASC社にとって、高成長ビジネス参入へのよい機会である。われわれの市場分析によれば、SuperVar変換器関係の米国市場は約2億ドル、総合的な市場は年率15%以上で成長すると見ている。世界市場は、この4～6倊大きいと予測している。｣と語った。

　(高麗山)