Conectusは、HTS関係の非常に大きな成長が新しい応用分野で起きると予想している、即ち電力、工業的製造・加工、輸送、新医療及び情報・通信等の分野で。Conectusは、成功のためには何を為すべきかを指摘している。「HTS技術は依然としてライフサイクルの初期に有るが、基本的に新規な特徴を有するシステムを実現するには、効率的で信頼性の高い冷却技術の開発のような他分野に於ける同様の進歩が必要である。従って、もっと工業的スケールでの実証が要望され、もっと多くの参照データがパイロット試験を行う顧客から供給される必要がある。多数の製造設備の立ち上げを行い、もっと多くの努力を活発な市場開発に注がねばならない。これら全ては、極めて大きな資本投資と時間を要するものである。ユニークな性能にも拘わらず、新規な物理現象の発見とその広範な利用との間、約20年の時間スケールは全く通例のものである。《
Conectusは、2005~2010年の期間にシステム開発と部品のコスト低減により、これら新規分野の経済的基礎は形成されて行き、2010年にはHTS及びLTSの世界市場規模は17億ユーロに達すると予想している。これら新規ビジネスの内で最大成長率のものは、電力応用、医療診断及び通信の緒分野に観られる。これら新市場へのHTS貢献の評価は、2010年に16億ユーロ程度であり、新市場に於いてHTSの明らかな優位を示している。これらの見積もりは、幾つかの新規ビジネスが2005年と2010年の間にスタートすると云う予測に基ずいている。
「超伝導は、21世紀の中核技術の1つになり、経済的に重要且つ地球環境的に望ましい、多数の現在及び将来のニーズに対して実現可能な解決策を与えよう。《とConectusのロードマップは述べている。それにも拘らず、多くの人々はConectusのHTSに対する予測が余りに楽観的と考えるだろう。と云うのは電力産業界市場を確立する為には長期の時間が必要であり、現在は商業的に生き残りうる線材を欠いているからである。若し、coated conductorを用いる製品の販売が2010年に始まっても、当該市場は2015年までは優勢にはならない。加えて、運送関係の応用は広く長期のスパンで考えられており、HTSを使用する新しい大規模応用も近い将来の視野には存在しない。HTSを用いる無線通信システムが普及する事は大いに有りそうである、あるいは今後発見される工業的製造法の応用が新市場を開拓するだろう。勿論、最初はコストの理由からLTSの使用を持って始まり、手ごろな実用的coated conductorが供給されるようになれば、HTSに置換わるであろうと述べている。
(こゆるぎ)