SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.11, No.5, Oct. 2002

9.残念ながら、やはり捏造だった!
―FET研究に対する調査報告書公表される


 本誌57号でお伝えしたように、ルーセントテクノロジー社のSchön(元研究員)らのFET研究に関わるデータ捏造疑惑解明のため、スタンフォード大学のBeasley教授を長とした調査委員会が組織されていたが、この9月25日に全127ページに及ぶ報告書が公になった。これは、次のURLより入手できる(http://www.lucent.com/news_events/researchreview.html)。要点は、実験装置がすでに破搊しており使えないこと、実験の生データがコンピューターの容量上足を理由に全く残っていないこと、論文中のデータは他からのコピーや適当な数式でフィットした人工的ものであることをSchön本人が認めていることで、この調査結果を受けてSchönは既に会社から解雇されている。この事件は、単独研究の評価、共著者の姿勢などを今一度問い直すものであったが、先端科学研究への信頼を失わないためにも再発がないことを祈るばかりである。

  【事務局より】スーパーコムでは号外も含めて4回、Schönらの研究成果を報じてきましたが、結果的に読者の皆様に混乱を招いてしまいましたこと、お詫び申し上げます。

(JAP)