SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.11, No.5, Oct. 2002

3.超電導リニアの新型車両が山梨実験線にて走行開始


 超電導方式のリニアモーターカーは、山梨実験線にて実用化に向けた走行試験が続けられている。旧運輸省の超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会にて指摘のあった、残された課題の一つである「車両の空力的特性」を改善するため、この度、鉄道総合技術研究所と東海旅客鉄道株式会社は、新型の試験車両(先頭車両、中間車両)を開発した。本年6月18日に車両基地へ搬入された後、組立・調整が行われてきたが、7月25日に報道関係者へ公開され、走行試験が開始されている。

 JR東海ならびにJR総研のホームページやプレスリリース資料等の各種情報をもとに、新型車両について報告する。

■車両形式・番号

 先頭車両(Mc5)はMLX01-901号車といい、中間車両(M4)はMLX01-22号車である。従来の先頭車両のような、エアロウェッジやダブルカスプといった形状に対する愛称は特についていないようである。

■新型試験車両の主な特徴

1. 車両形状:先頭車両は、先頭部の長さが従来の9.1mから23mまで試験的に伸ばされており、より鼻高の顔立ちとなった。また、先頭車両、中間車両とも車体下部の形状を従来の円形から角型に変更することにより、車体部から台車部への断面形状の変化が抑えられている。これは台車部付近で発生する空気振動を低減することが目的とのこと。今後行われる空力的特性、車両運動性能等のデータ蓄積・解析により、営業線用車両の仕様が策定されていくことになる。

2. 車体構造:中間車両は、外板とそれを支える骨の部分を一体化した押出型材を多用する等、車両製造工数を減らしてコスト低減が図られた。一方で、車両剛性の向上による乗り心地向上、空気層厚を確保した二重窓の採用や外板厚さの増加による車内騒音低減等、車内空間の改善を図っており、より完成度を高めた車両といえる。

■試験計画

 新型車両は現在3両編成で、既に551km/hまで速度向上が図られている。基本的な特性を確認した後、4両編成での走行試験へ移行する予定とされている。

 なお、JR総研およびJR東海のリニア関係者によれば、「来年度の試乗会から新型車両を使用したい。」との意向であり、今から楽しみである。


図1 公開された新型車両

               

(MAG-fan)