SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.11, No.4, Aug. 2002

4.高磁場MRI向けに強い志向 ―IMV調査結果が明かす


 『新医療』2002年6月号によれば、この1年間(2001.5~2002.5)の我国に於けるMRI設置台数は472台、年増加率は10%であるという。超電導システムの比率は、依然として76%と高率を維持し、1T以上の高磁場システムの比率も62%と増加傾向を示している。我国の医療認可磁場は、最高1.5Tであるが、米国では最高2Tまで認可されており、最近米国から更に強い高磁場志向が以下のように伝えられている。

 この度、IMV医療情報部(医療及び保険技術市場に特化した市場調査会社)は4401サイトを網羅する2002年版“市場要約リポート”を発行した。IMVによれば、MRIは2001年に年率15%の増加を経験しており、1800万回の画像化処理を行っている。循環器病の画像化処理は、比較的高磁場の装置をMRIサイトの58%で稼動させる必要が有り、99年のMRI処理比率1%から2001年の処理比率4%に成長しているとのことである(Superconductor Week 7月8日号)。

 IMV社副社長のM. Goldburgh氏は、「1.5T乃至それより高磁場マグネットの臨床性能は、MRI装置の購入を促進している。MRI設置サイトの60%以上は、1.5Tあるいはそれ以上の高磁場マグネットを有しており、報告されたMRI購入計画は、高磁場システム志向と一致している。患者の安楽と搬入難問題により、近年は低中磁場開放型システムがポピュラーになってきたが、短ボアーの1.5Tシステムが高磁場システムの先進的臨床性能を望むサイトに対する受け入れ可能な解決策と思われる。90年代後半には、低磁場開放型システムがMRI市場、特に画像化センター市場を拡大してきたが、将来購入計画の約半数が先進的な短ボアーの閉鎖型高磁場システムを志向している《と語っている。Goldburgh氏によれば、1.5Tの装置は、93年以来販売された全システムの50~60%を着実に占めている。1.5T以上の高磁場マグネットを有する診断機器のパーセンテージは、93年のゼロから昨年の約5%に増加した。市場調査の重点は,臨床使用と画像処理数に置かれたので、当報告書には非常に高い磁場の研究装置への要求に関する情報は含まれていない。 0.3Tより低い磁場のMRI装置は、93年の5%に対して今や約19%を占めている。これは、大雑把な解剖学的、骨格的画像化を行う独立の非病院系診察所が成長した結果である。より高い磁場の超電導マグネットは、その高い感度、柔軟性及び高処理能力(スループット)の故に病院市場の主流になっている。

 IMVのMRI実態調査は、各サイト固有の情報(画像処理の趨勢、MRI設置基地と購買計画、ネットワーク作り、MRIと関連したレーザーフイルム・プリンター,コントラストメディア活用とその予算、パワー注入機設置基地と購買計画)を入手できるよう認可されている。当報告書は、2001年実態調査の全国的傾向を、IMVが93年以来行ってきた4つの実態調査報告書と比較対照して示している。

 尚、データベースと市場調査要約は、www.imvlimited.comから入手できる。

(こゆるぎ)