SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.11, No.3, June 2002

15.超伝導フィルターの開発及び設置に関し、STI社を猛追中
_米国コンダクタス社_


 本誌2002年4月号に、最近STI(Superconductor Technologies Inc.)単独で実用化基準である1000台の超伝導フィルター設置を達成したと云う記事を掲載した。米国では、STI社、ISCO(ISCO International Inc.)、コンダクタス社の3社がHTSフィルターの開発と設置に凌ぎを削ってきた。その後他の2社、特にコンダクタス社の活発な動きが報ぜられ、同社がSTI社を猛追し数100台の設置を達成しているようである。

 Superconductor Week誌2002年3月25日号(Vol.16, No.6)によれば、この度コンダクタス社はDobson通信会社の子会社であるDobsonセルラーシステム社(米国の郡部市場へ携帯電話サービスを提供する先導的プロバイダー)からHTSフィルターの追加注文を受注したことを明らかにした。2000年にDobson社はコンダクタス社と最低200台の購買契約を結んでおり、今回はその追加注文である。但し、この最新注文に含まれるシステム台数は特定されなかった。

 Dobson社技師長のT. Duffy氏は、「我が社のClear Site前置システムは通信ネットワークに非常な技術的利便をもたらしてきた。Clear Siteシステムを採用した基地局では、通話脱落率が顕著に減少し使用時間数が43%増加した。我々は、今までの投資に満足しており、全国ネットワークに本技術をより一層採用して行くため、当追加注文によって本技術を更に活用する計画である。《と語った。

 コンダクタス社社長のC. Shalvoy氏は、「この追加注文は、Dobson社の極めて積極的な実地経験とコンダクタス社製品に対するDobson社の信頼を示しているので大変嬉しい。コンダクタス社製品は、Dobson社の既存デジタル無線方式音声通信ネットワークに対して非常に重要な貢献をしている。Dobson社と良好な関係が長期間継続することを期待している。《と応答した。

 さらに3月18日付の新聞発表(www.conductus.com.)では、この度コンダクタス社は1顧客から第3世代(3G)IMT-2000対応搭上システムを受注し、もう1つの顧客からは第2の多重3G対応フィルターシステムを受注したことを明らかにした。これらのシステムは、2002年半ばまでに日本の主要なOEM発注会社へ紊入される。当システムには、コンダクタス社の超選択性先進フィルターシステム(1dB以下の低搊失で50極等価の選択性を実現)が含まれる。その性能は幾つかの重要指標に於いて、以前に報告された如何なる厚膜或いは薄膜HTSフィルターの指標を凌駕すると云う。

 C. Shalvoy氏は、「当受注は、我が社が日本で通信事業者と3G向けOEM生産供給者と共に良好な関係を継続していることを実証しているので重要である。またこれは、当社の50極等価性能を持つHTSフィルター(昨年夏発表)が初めて3G商用使用で試される機会になることを意味する。当プロトタイプ搭上システムには、極めて低い搊失で当該帯域外電波の干渉を拒否する超選択性が付与されている。第2のOEM生産向けに開発されたフィルターシステムには、同じくコンダクタス社の高選択性フィルターが含まれており、3G応用に対するHTS技術の有効性を実証する為に使用されるだろう。コンダクタス社のシステムは、非常にノイズが少なく帯域外電波との干渉を高度に排除する能力を既に実証している。日本の3G市場参入への可能性は、コンダクタス社にとっても自社製品から最も高い性能を引き出すべく極めて魅力的な機会である。顧客の方は、干渉排除のための高い選択性と感度向上のため最小のノイズ指数及びカバー率向上を可能とする新フィルターを求めている。そしてサイズの小型化は特別に重要である。これらの要求事項には妥協はあり得ない。《と語った。

 コンダクタス社は、これまで実施した米国及びアジアに於ける実地テストから、近い将来無線通信及び高速データ伝送サービスが2.5Gと3Gネットワークに収束していくにつれて、上記のような超選択性能を有するフィルターが要求されると考えている。コンダクタス社は、電子的調整型及び自己調整型フィルターを開発中であり、フィルターの選択性向上と相まって、将来の無線通信ネットワークの挑戦に対応して行く計画であると云う。

(こゆるぎ)