PT410のプロトタイプ機は、本年9月に品質評価のためMRIメーカーに出荷され、商用向け製造は来年始まる予定である。コストは、近年実用されているGM冷凍機の75,000ドルに匹敵するものとなろう。当冷凍機は、サイズも構成もGM冷凍機と同様であり、機器の修正改良は最小限に抑えられよう。Wang氏は、「低振動が大きなセールスポイントになると期待している。運転者が映像を撮る時は何時も冷凍機を停止させる必要は無くなる。これは臨床的運転上大変好ましい。最近のMRI市場規模は年率2000台であり、パルス管冷凍機はMRI市場の高磁場向けに組み込まれると予想している。」と語った。
別の会議で、GEメデイカルのP.Thompson氏はMRI装置にパルス管冷凍機を使用する積極的プログラム(GE)の成果を発表した。GEは、自社のマグネット製作所で現在運転中のMRI装置に於いてクライオメック社製PT407冷凍機を使用している。当MRI装置は、高冷却効率のために可成り小さなNb-Tiマグネット(227 kg)を用いており、0.5 Tで稼動している。本システムは、診療病院の代わりに医療事務所での使用即ち運転が容易で機器を始動させる時急速冷却が可能な応用を目指している。Thompson氏によれば、パルス管冷凍機はマグネットを一日以内に冷却できるので、医療事務所での使用要件を満たしている。GM冷凍機を用いる前回の設計研究は、不適格な冷却とイメージングを妨害する振動の為に中止された。パルス管冷凍機により冷却された当MRI装置は、GEのマグネット製作所で既に連続4000時間動作しており、最低一年間の臨床試験の為近くスタンフォード大学へ移設される予定である。
「GEは、パルス管冷凍機はMRIシステムにとって成長力がある選択肢であり、製品に繋がると結論している。本設計は、初期コストあるいは運転コストの低減に何ら資するものではないが、事務所レベルへの改良は患者にとっては大きな節約であり、より大きな便宜を提供するものである。興味深い余談としてGEは、今回の事務所サイズプロトタイプに使用されている冷凍機が4.2 Kで1.3 Wを達成したと計算している。この値は、クライオメック社が指定している冷却能を相当上回るものである。最初の運転で、マグネットは3.3 Kに冷却され、導体の熱容量減少によるクエンチにつながり、動作温度を4.2 Kに上昇させた。実際の応用で冷凍機を過度に低い温度で動作させる事は稀である」とThompson氏は語っている。
(こゆるぎ)