図1には、成長したBi-2212ウィスカーのSEM像を示す。陽イオン比がTe:0.5,Bi:2.0,Sr:1.0,Ca2.0-2.5,Cu:2.0-3.0の範囲では、全てのウィスカーがBi-2212相である。母相には2212相のほかに(SrCa)3TeO6が存在するため、CaリッチなBi2Sr2Ca2Cu2Te0.5OXの仕込み組成において良質なBi-2212ウィスカーが成長する。その際、母相の2212相の組成とウィスカーの組成は一致している。一方、Bi-2201ウィスカーは、Te0.5Bi2Sr2Ca1Cu1OXの仕込み組成において成長する。また、100%O2中の方が、大気中よりウイスカーの成長が促進され、100 hの育成熱処理で長さ10 mm以上が得られる。成長に適した条件は、100% O2中で860-875 ℃である。図2には、4.2 KにおけるBi-2212ウィスカーc軸方向のI-V特性、図3には、その拡大図を示す。固有ジョセフソン効果による数10 mV間隔のブランチがみられる。これは、ウィスカーが極めて均質で、優れた結晶性をもつことを示唆している。ab軸方向のI-V特性から求めたJcは、1-5x105 A/cm2であり、従来の方法によって育成されたウイスカーの10倍程度ある。また、抵抗法によるTcは、110 Kと80 K近傍で2段遷移が現れ、Bi-2223相の層がわずかに含まれている。一方、Bi-2201ウィスカーは半導体的であり、4.2 Kまでに超伝導遷移が現れない。
図2 c軸方面接合のI-V特性
図3 c軸方向接合のI-V特性の拡大図
(オホーツク流氷)