SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.10, No.2, Apr. 2001

6. 2個の勾配コイルを装着する2重目的の超伝導MRI装置を導入
_GEメデイカル_


 現在、世界におけるMRI (磁気共鳴イメ−ジング)装置の設置台数は、15,000台を超えており、我国の設置台数も4,000台(超伝導式75%)を超え増加を続けている。これらMRI 装置の供給のビッグ4社は、GE、Siemens、Philipps、東芝である。各社は、MRI 装置の性能改善や新規機種の開発・導入を競っている。基本性能の向上(小型化、軽量化、高速化)と簡便性・操作性・多機能性の向上が主方向であり、特に診断しながら手術が可能な開放型システムや複合機能システムへの志向が見られる。

 Superconductor Week誌(Dec.18, 2000 )によれば、GEメデイカルは最近1台の1.5 Tシステムに2個のGradient Coil(勾配コイル)を組み込んだ“Signa Twin Speed” MRI 装置を開発したことを明らかにした。この双対型マグネットは、1個の画像化機器で全身画像診断と同時に高度の局部画像診断を行う能力を有している。GEによれば、第2の勾配コイルを付加することにより、心臓病と脈拍調整の分野でもっと高度な応用技術が開発されるだろうと云う。GEメデイカルMR部長のC. Cooke氏は、「これは、当業界で最初の2重勾配システムであり、未来のシステムの基盤になるものである。将来、相当刺激的な諸能力を提供できるだろう。両モード間を高速に切り替える能力と共に、両モードを同時に動作させる事が出来るようになるだろう。」と語っている。“Twin Speed”はMR業界の一般趨勢と歩調を合わせるように、騒音が40%も減少する新しいノイズ低減装置を装備している。

 “Twin Speed”は、現在製造工程に入っており、最初の出荷も間もなく行われることが予想される。MRシステムの実際のコストは、多くの構成選択肢に依存するので、システム価格は入手できなかったが、GEメデイカルのスポークスマンは、GEの現行1.5 Tシステムの価格(1‐1.5 Mドル)より高価になると云っている。GEメデイカルは、1年以内に新機種100台を運転開始し、2002年までには750台を稼動させる計画である。これらの数字には、既にGEの高性能MRシステムを持っている研究機関における性能向上目的の代替設置台数が含まれている。

 GEメデイカルはまた、自社の3 T MRシステムを臨床診断に適用するためのFDA認可が得られたと発表した。この3 Tシステムは、最近実地試験段階に入っているが、1台は研究目的のためボストン市のBeth Israel Deaconessメデイカルセンターに設置されている。本システムは、全身型コイルとして形成されているが、解像度を改善した画像を提供でき、特に内臓器と骨髄を調べるときに有効である。Cooke氏によれば、GEメデイカルは来年3 Tシステムを医用市場に投入する意向で、高磁場システムに対する第2の応用が脳神経研究のため現在開発中である。当システムは、頭の局在場画像を得るため非常に大きい励磁振幅の勾配コイルを用いる予定である。

 尚、GEは種々のマグネットをフローレンスの自社工場と英国の子会社Magnex Scientificで製造している。

(こゆるぎ)