10月1日は、参加者登録の後、各局会合及びプロトコルミーティングが開催され、会議の進め方が決められた。また、10月2日、3日の会議は以下の方々の講演があった。
10月2日"Opening Remarks " Juan Farre (Nordic Superconductors)
Session : Eisuke Masada (Science University of Tokyo) "Overview of the Superconductivity Program in Japan"
Shoji Tanaka (ISTEC/SRL) "Review of Development and Target for Second Generation Conductors in Japan"
Glenn Epstein (IGC) "Cryogenics: An Enabling Technology"
Tsuneo Nakahara(Sumitomo Electric Industries, Ltd.) "Towards Commercialization of HTS Application-Status and Requirements for Decisive Supporting Technologies
Greg Yurek (ASC) "Review of Development and Targets for HTS Conductors"
Heinz-Werner Nuemuller (Siemens AG) "Economic Aspects of HTS Applications-Industrial Review
Carl Rosner (IGC.) "Star Technology for 21st Century"
10月3日 Session:Helmut Krauth (Vacuumschmeltze GmbH) "Status and Activities in Low Temperature Superconductivity"
Hiroyasu Onishi (Tokyo Electric Power Company) "Development of High-Tc Superconducting Cable: Initiation of Integrated Prototype Test"
Dag Willen (NKT Research Center)
Paul Grant (EPRI) "Review of Developments in Superconducting Electronics --on the Verge of Commercialisation?"
経済の発展に伴いエネルギー需要は増加の一途をたどり、効率的な発電、送電等は、特に環境的側面からその重要性を日に日に増してきている。なかんずくIT分野の革命的とも言える進歩を考えれば、それを裏打ちするエネルギー技術は看過できない。このような問題に適切に対処していくためには、超電導技術は実現可能性の観点から最も有力な技術の1つであることは論を待たない。今次会合では21世紀を睨んだ超電導技術やその実用化の問題などについて活発な議論が行われた。日本側からは、東京理科大学正田教授、超電導工学研究所田中所長、住友電工中原特別技術顧問、東京電力大西取締役から講演が行われたが、参加者の注目度は極めて高かった。また、今回はサミットのあり方についてフリーディスカッションが行われた。参加者から多様な意見が述べられ、これをまとめることは筆者の能力をはるかに超えているが、あえて筆者の印象を申し上げれば、ユーザーの意見は重要であり、今後ユーザーにより目を向けた会議にしていこうというのが共通認識ではなかったろうか。 コミュニケはまとめられていないが、今次会合においては、概ね以下のような点が参加者の共通認識ではなかったかと思う。
(1)経済成長や情報通信産業の急速な進歩に伴い、世界的に電力需要は増大してきており、今後ともこの傾向は続くであろう。
(2)大きな電力需要の問題は、省エネや環境問題とも相俟って、緊急に解決しなければならない問題である。
(3)通信需要は、全世界的に現有設備能力をはるかに超えて増加しつつある。
(4)超電導はこのような問題を解決するための最も有力な現実的手段であり、超電導技術の利用は世界的な問題として、緊急性が高い。
(5)国際プログラムや技術基盤の共有を通じた超電導技術の推進、さらには加速を図るためには、国際協力や民間企業への援助がさらに強化されなければならない。
(6)電導技術にはそれに不可欠な支援技術というものがある。これらは、十分な開発努力が払われまた、十分テストされたものでなければならない。この意味で企業の枠を越えた協力というものが不可欠である。
(7)政府は、所要の関連技術を網羅した超電導技術に対する支援の拡大を今後とも継続していく必要がある。
(8)スケールアップした製造プロセスに繋がっていくような投資が、なるべく早く行われることが望ましい。
最後に、次回は2001年10月1日〜3日米国ワシントンで開催することが合意されサミットは閉幕した。
(えきたいちっそ)