SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 9, No. 3, Jun. 2000.

16.スーパーコム 超伝導科学技術賞を受賞


 去る5月12日、早稲田大学において社団法人未踏科学技術協会超伝導科学技術研究会主催の第26回シンポジウム「開かれる超伝導社会の扉_新世紀に期待される技術の萌芽」が開かれ、この席上スーパーコム・チーム(北澤宏一東大教授、古戸義雄編集長、近藤幸子事務局長)は、第4回超伝導科学技術賞を受賞しました。

 この賞は超伝導科学技術の基礎から応用、用途開発までの広い分野の中から優れた成果や貢献に贈られるもので、「スーパーコムによる最新情報の提供」が受賞理由となっています。

 今回の受賞は、スーパーコムの7年余に亘るボランティア活動が超伝導研究・開発の発展に寄与したことが評価されたものと光栄に思います。

 それと同時に、発刊以来、読者の皆様から寄せられた暖かいご協力・ご支援の賜物と深く感謝し、この紙面を借りてお礼を申し上げたいと思います。

 私自身は、1996年10月からの中途参加ですが、早いもので4年近くが経過しました。振り返りますと、失敗も度々ありながら、常に激励をいただき、なんとか継続してきました。一昨年はスーパーコム発刊5周年を祝い、読者の皆様から寄せられた「激励のこえ」に大変感激した記憶が甦ります。「基礎から応用、ユーザーまで」をモットーに、価値ある情報を掘り起こし、超伝導材料および超伝導応用分野から超伝導エレクトロニクスあるいは周辺技術分野などを網羅すべく努めてまいりましたが、エレクトロニクス分野や、冷凍機分野の方々とのルートも拡がり、喜んでおります。最近は企画ものとして、4回の誌上討論シリーズを掲載し、そのうち1回は、従来すくなかった「理論」を取り上げました。取りまとめにだいぶ苦労しましたが、今後は工夫しながら、企画ものを続けていきたいと思います。本誌と米国のSuperconductor Week誌とは、発刊時から掲載記事の交流、すなわち先方の記事の一部を本誌上で紹介する一方、当方の記事の一部を英訳して先方に送り、同誌の記事として収録されるというやり方で相互協力を行ってきました。最近は先方に掲載される割合が増えており、日本の研究開発が注目されていることの表われと受け取っています。世界への発信も重要と考えており、現在身近な東大の学生の協力(英訳)の下、発信を続けて行きたく最新成果の寄稿を是非、お願いいたします。

 最後になりましたが、本誌読者の皆様から今後ともご協力・ご参加をいただき、本誌の一層の充実、発展を目指して努力する所存です。よろしくお願いいたします。

(編集長・古戸義雄)

 これまで、誌上で、この賞の公募や結果をお知らせしてまいりましたが、自分自身がその対象となることはまったく考えておりませんでしたので、面映い気持ちですが、ボランティアの成果にりっぱな賞をいただいたことを大変嬉しく、光栄に思います。このたびの受賞は、個人の行為に対してではなく、スーパーコムという誌面を仲立ちに、これに関ってきたすべての方の貢献に贈られたものであると思っています。

 当初は当事者でさえ、このような形で発行を続けていくことができるのか、不安であり、内容も、発行のためのノウハウもすべてが手探りの状態で、大変拙いものでありました。創刊号からしばらくは、本当に無料でよいのか、というお問い合わせが続きました。

 会員による情報交換という姿勢で出発しましたが、全員に同意を得て始めたわけではなく、一方的に、関心を持っていただけそうな方を、いろいろな名簿からリストアップして送り、アンケートに基づいて会員としました。

 記事を書く方も、どんなニュースレターなのか、恐らくとまどいを感じられていたことと思いますが、快く協力をして下さり、また、おりおりに感想や要望を寄せてくださる読者もあり、その継続が偏りと気取りのない、今日のスーパーコム記事の雰囲気を作り出していると、勝手に自負しております。職場や研究会などの交流で本誌を知って、申し込んでこられるかたも続いています。最近ではWebの反響もあります。

 編集にあたっては、パソコン初心者の見当違いな質問や要求に丁寧に対処してくださった代々の研究室メンバーの応援、また発送にあたっては実験、研究の時間を割いて集まる学生の皆さんの協力がなければ、続けることはできませんでした。匿名で、ときおりカンパを寄せてくださる「つくば太郎」さん、また、退官にあたって寄付をしていただいた岡田東一先生、この基金を何かに活かしたいと思いながら、まだよい知恵が浮かびません。

 皆様に本当に感謝申し上げます。長く続けてきてはいても、なくならないミスと、ときどきの遅れに事務局としては、肩をすぼめつつ、「楽しみにしています」という声に元気を取り戻し、今後も時代に対応しながら超電導のコミュニティが継続していくことを夢みております。

(事務局長・近藤幸子)