SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 9, No. 3, Jun. 2000.

14.第6回超電導標準化国際会議開催
(3/27〜3/29、米国・コロラド・ボルダー市)


 わが国は、IEC(国際電気標準会議)のTC90(第90番技術委員会−超電導)の幹事国を引き受けて超電導国際標準化活動に貢献している。TC90国際会議は、既に第1回東京(90年5月)、第2回パリ(92年11月)、第3回コロラド(95年4月)、第4回中国(96年10月)及び第5回フランクフルト(98年6月)と約2年から1.5年間隔で開催している。これまでに審議終了したものとして、@IEC 60050 IEV 815(International Electrotechnical Vocabulary Chapter 815:Superconductivity);対応JIS H 7005:1999(超電導関連用語)、AIEC 61788-1:1998(DC Critical current of Cu/Nb-Ti composite superconductors); 対応JIS H 7301:1997(ニオブ・チタン複合超電導線の直流臨界電流試験方法)及びBIEC61788-2:1999(DC Critical current of Nb3Sn composite superconductors); 対応JIS H 7302:1999(ニオブ3・すず複合超電導線の直流臨界電流試験方法)がある。

§第6回ボルダー会議§

開催:ワーキンググループWG会議;2000年3月27-28日、本TC90会議;2000年3月29日
場所:Room1107, NIST, 325 Broadway, Colorado, Boulder, USA
議長:L. F. Goodrich (NIST, 米国)
参加国:米国(6名)、ポーランド(1名)、韓国(3名)、中国(3名)、日本(10名)計24名

@審議が終了したものは、 WG3 IEC 61788-3「銀シースBi系酸化物線の直流臨界電流試験方法」、WG6 IEC 61788-5「Cu/Nb-Ti複合線の銅比試験方法」及びWG5 IEC 61788-6「Cu/Nb-Ti複合線の室温引張試験方法」であり、近く最終投票を経て国際規格ISになる。

A審議中の、WG4 IEC 61788-4「Cu/Nb-Ti複合線の残留抵抗比試験方法」及びWG8 IEC61788-7「超電導体の表面抵抗試験方法」が委員会原案CD段階から委員会投票CDV段階に、WG9 IEC 61788-8「交流損失試験方法」が作業原案WD段階からCD段階へそれぞれ進展した。

B今後の作業計画としての、「Cu/Nb3Sn複合線の銅比試験方法」"Copper to superconductor volume ratio of Cu/Nb3Sn composite superconductors"、「酸化物超電導体の捕捉磁束密度試験方法」"Trapped flux density in large grain oxide superconductors"、「複合超電導線の臨界温度試験方法」"Critical temperature of composite superconducting wires"及び「Cu/Nb3Sn複合線のRRR試験方法」"Residual resistance ratio of Cu/Nb3Sn composite superconductors"は、それぞれ新提案することが承認された。また、これらの作業は、既存のWG6、新規WG10、新規WG11及び既存WG4においてそれぞれ実施することも承認された。

C予備標準化活動として、(財)大阪科学技術センター付属ニューマテリアルセンターNMCから「Cu/Nb3Sn複合線のRRR試験方法」「三層構造Cu/Cu-Ni/Nb-Ti複合線の直流臨界電流試験方法」「交流用Nb-Ti複合線の交流許容電流試験方法」「Cu/Nb3Sn複合線の室温引張試験方法ならびにCu/Nb-Ti複合線の低温引張試験方法」及び「ピックアップコイル法による交流損失試験方法」について、VAMASから線材/テープグループ、バルクグループ、薄膜グループならびに機械的特性グループにおける予備標準化活動の現状について、(社)日本ファインセラッミクスセンターJFCAから「Bi系銀シース線の直流臨界電流試験方法」「超電導線の臨界温度試験方法」及び「Bi系酸化物超電導線の交流損失試験方法」についてそれぞれ現状報告があった。

D次回第7回IEC/TC90会議について審議がなされ、開催時期として2001年9月から10月頃、開催場所候補としてイタリアと韓国の2ヶ所が提案された。

 今回の会議は、開催期間を2年から1.5年間隔に短縮した第1回目の会議であった。会議は、任期更新が信任されたGoodrich議長のもと滞りなく進行され大きな成果を収めることができた。わが国は、TC90の幹事国として今後とも継続的に超電導標準化に関する国際協力に貢献することの必要性を実感した。この目的を達成するために、多くの研究者、企業関係者の積極的な参加とご支援のもとでの政府機関からの継続的な財政的支援をお願いする。