SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 9, No. 2, April. 2000.

3.鞍型コイル式シリコン単結晶引上げ装置用
超電導マグネットを開発
_三菱電機_


 三菱電機(株)では,超電導マグネットの工業応用として,磁場印加式シリコン単結晶引上げ装置(MCZ)用の超電導マグネットを開発・製作してきた。

 今回,MCZ水平磁場用発生超電導マグネットとして,1対の鞍型コイルを使用した中心磁束密度0.5 T級(Bmax=3.2 T),室温ボア直径1.2 m級の超電導マグネットの開発に成功した(写真)。

 このマグネットは,レーストラック型コイルを円筒容器の側面に沿わせた鞍型コイルを使用しているので,従来の円形2コイルシステムに比べて,非常にコンパクトであり,カスプ磁場発生用超電導マグネットと置き換え可能であるなどの特徴を有している。さらに,磁気シールドにより漏洩磁束が小さく,外部の鉄構造物との間に働く電磁力が小さい。また,このマグネットは液体ヘリウム浸漬冷却であるが,極低温冷凍機2台を使用して液体ヘリウム蒸発量を低減し,励消磁での蒸発を考慮しても,液体ヘリウムの注液間隔1ヶ月以上を達成している。

 同マグネットの開発に携わった電力・産業システム事業所(神戸)の豊田勝義専任は「今後,同形式のより口径の大きなマグネットを開発し,カスプ磁場印加用の超電導マグネットと合わせて,300mmウエハ用結晶に関する業界のニーズに対応していきたい。」と述べている。

(MCG)


写真 マグネット外観


概念図