SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 9, No. 1, Feb. 2000.

11.超伝導フィルタシステムのOEM取得
_コンダクタス社_


 世界で五指に入る基地局メーカの1社がConductus製HTSフィルタシステムを試験し、OEMの資格を与えた。ConductusのJames Simmons氏は「今回の認可によって、このOEMの世界的な販売力がClearSiteシステムをいかなる顧客にも推奨できるようになるだろう。またOEMの顧客ベースでのClearSiteの視界は非常に広くなるであろう。」と述べている。A及びBバンド両セルラーにそれぞれ対応したClearSiteシステムはセルラー会社の技術者による試験に完全に耐え抜いた。Conductusはこのシステムについて、「特にCDMAシステム間の干渉に効果がある。OEM先では高密度CDMAシステムにおいてClearSiteシステムによる感度増加がコードチャンネル干渉問題の緩和に役立つとの好印象であった。」と述べている。

 プレスリリースによれば、「フィールドトライアルにおいてClearSiteシステムはセルサイトの拡大等が期待できるので、1 GHz帯と2 GHz帯のネットワークにおいて30%から50%以上の歳入増加が見込める。」としている。最初の3 GHz帯のフィールドトライアルは1999年に開始され、2000年も継続実施の予定である。

 第1世代(1 GHz帯)ワイヤレスネットワークは全てアナログであったが、第2世代(2 GHz帯)ネットワークはCDMA、GSM、TDMAなどの異なるエアーインターフェース標準によるデジタルである。これらのシステムはセルラーやPCSキャリヤが利用可能である。次世代(2.5 GHz帯、3 GHz帯)ワイヤレスネットワークが提供する広帯域デジタルサービスは音声のみならず高速データ、インターネットアクセス、圧縮動画像をサポートすることになるであろう。アナリストは商用の2.5 GHz帯サービスは2000年から、また3 GHz帯は2001年から開始すると予想している。

 一方、EUでも超伝導分野でのベンチャー企業の動きが活発である。また国内では特殊法人基盤技術研究促進センター、(株)デンソー、アルプス電気(株)の共同出資で1994年3月に設立した(株)移動体通信先端技術研究所が進めてきた高温超伝導フィルタシステムの技術が確立できた。このため(株)デンソーとアルプス電気(株)はこの技術を継承して実用化を目指すべく(株)クライオデバイスを1999年4月に設立した。世界的な規模で超伝導が実用化のフェーズに突入したといっても過言ではない。(株)移動体通信先端技術研究所の代表取締役常務であり(株)クライオデバイスの代表取締役社長でもある青木賢之氏は、「超伝導フィルタシステムのメリットはフィルタのシャープスカート性による他システムとの干渉低減と雑音指数低減による受信感度の向上であろう。我々はこれらのメリットが十分に活かせる次世代通信システムであるIMT−2000の基地局受信フィルタを開発中である。」とコメントしている。

(エベレスト)