SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 8, No. 4, Aug. 1999.

3.速応型超電導発電機 実証試験成功
_東芝、Super-GM_


 東芝とSuper-GMは、昨年12月より実施していた7万kW級超速応型超電導発電機の実証試験において、発電機の諸特性の検証や、電圧を一定に保つための同期調相機運転における実電力系統での連系試験など、予定されていた全ての試験で成功を収めた。

 東芝は、系統擾乱時に急速に励磁電流を変化させて発電機電圧を調整し、電力動揺を抑制できる超速応型ロータの開発を担当した。昭和63年度から本ロータの開発に着手し、超速応型超電導発電機に適した超電導線やロータ材料、構造の開発を順次進め、各種部分モデルによる検証を経て平成9年度にロータを完成させた。ロータは平成10 年10月から関西電力株式会社大阪発電所構内のSuper-GM試験センターに据え付けられ、同年12月から各種実証試験を実施してきた。

 日本工業規格に(JEC)に準じた一般基本特性試験、冷却などの超電導固有試験、負荷試験、過酷試験、系統連系試験というすべてのメニューを6月16 日までに終えた。実証試験の主な成果は下記の通り。

@定格電圧10 kV、力率89 %(遅れ)の条件で有効電力64,500kWの発電に成功した。

A定格運転状態から界磁電流を1秒間に定格程度の幅で変化(世界最高の電流変化率)させても、界磁巻線が超電導より常電導へ転移するクエンチ現象が発生せず、落雷などにより系統が乱れても電力動揺を抑制して、安定に運転できることを実証した。

B過速度試験や突発短絡試験など過酷条件下での試験でも、超電導発電機は電気的・機械的に安定であり、その構造が健全であることを実証した。

CSuper-GMが関西電力(株)と共同で実施した実電力系統との連系試験において、系統電圧、発電機容量ともに世界最大の組み合わせとなる、77 kV系統に接続された超電導発電機を4万kVAで同期調相機運転し、超電導発電機が電力系統での各種変動に対して安定した運転特性を示すことを実証した。

今回、実証試験が成功したことにより、超電導発電機の次世代の開発段階である20万kW級パイロット機の設計・製作に必要な技術確立の見通しが得られ、超電導発電機が実用化に向けて大きく前進した。

(KM)