SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 8, No. 1, Feb. 1999.

14. 超伝導マグネットを応用した
       新しい超音波画像化技術の開発
_米国立衛生研究所_


 この度、メリーランド州所在の米国国立衛生研究所(NIH)がホール効果画像化技術をマモグラフ(乳房造影)のような医療診断技術へ適用する可能性を研究する目的で、6 T超伝導マグネットをオックスフォード・インスツルメンツ社(OIRI)に発注したことが明らかになった。もし成功すれば、リアルタイムのホール効果画像は、X線被爆の危険あるいは生体組織鏡検の不便を忍ぶことなしに、高速診断と患者処理量の増加を可能にするものである。

 6Tマグネットは、NIHのH.Wen及びR.Balaban両博士によって開発された新しい超音波プローブと一緒に使用される。当プローブは、磁界中で動作し、超音波測定と組み合せてホール効果を利用し、異なった人体組織の導電度を測定するものである。最も可能性のある応用は、死んだ生体組織試験における腫ようの診断である。過去20年間に発表された文献中で健全な細胞とガン細胞間の電気的特性差について良好な差別化能力が示されている。

 Wen及びBalaban氏は、"NIHにより特許出願中の本技術は、X線画像や従来の超音波画像より優れた特定能力を提供する"と予言している。両氏は、ホール効果画像はMRIに比し、患者処理量を倍増できると評価している。本プロジェクト用に設計されたマグネットは、4K冷凍機を閉サイクル方式で利用することによって、運転コストと保守要求を最小限に減らしている。

(高麗山)