このロジックの重要な用途として、RSFQ(Rapid Single Flux Quanta)デバイスと常温環境エレクトロニクスの間のインターフェイスが挙げられる。同チームのMark Jeffery博士は、すでにCOSLロジックゲートをGaAsビットエラー率評価装置に接続することに成功したと報告している。なお、COSLのビットエラーレートは5 GHzで10-12、8GHzで10‐9であった。RSFQは、100 GHz程度のでの動作が期待されていることから、COSLの役目としては、DEMUX(データ通信を遅くして、並列処理を可能するRSFQのコンポーネント)を用いて室温環境とのインターフェイスを構することになる。
従来型ロジックの開発では、日本が世界をリードしてきた。富士通では、1988年にすでに、4ビットジョセフソンマイクロプロセッサーの開発に成功していた。そのときの動作速度は1−2GHz程度であった。バークレイのグループは、その時の動作制限であった臨界電流、抵抗、インダクタンスなどのばらつきを、ランダムパラメータを考慮したモンテカルロ法により最適化した設計を採用した。その結果、動作速度を著しく改善できたとしている。現在の動作速度は、単純なCOSLにより達成されており、今後、複雑なシステムへの展開が期待される。同チームは、次のステップとして、RSFQとのハイブリッド化を目指していくことを計画している。このような周辺技術の開発は、実用化に向けた不可欠な要素であり、システム化を念頭に置いた研究開発は、分野を問わず、超伝導エレクトロニクスの成功の鍵を握ることになるであろう。
(LA)