当モータは、電気駆動系の縮小実証モデルとして、アナポリス市のNSWC施設によって設計・製作された。電流がデスクの中心と外周部に置かれた摺動式接触子を通してデスクに供給されると、半径方向に流れる電流と軸方向の磁界間の交互作用によりデスクを回転させる機械力が発生する。単極機は、ある固有の設計特性に因り、超伝導応用の有力な候補である。とくに、モータ応用においては、界磁巻線がロータにより産み出される回軸力(トルク)と反応するトルクを一切受けないからである。これは、マグネットの低温支持構造とHTS巻線がそのような力を許容できるように設計する必要がない、従って設計が簡単になることを意味する。
当モータは、最初は低温超伝導(LTS)の界磁巻線で設計されていたが、95年になってASC社及びIGC社製のBi-2223線を巻いたコイルに置き換わった。このモータは、液体He温度でテストされ、167 hpを発生した。ASC社が製作した新しいコイルセットを用いて、液体He温度で320 hpを発生した。
最近、この構成単位は、伝導冷却型システムに再設計されつつあり(図1)、液体の冷媒を冷凍機冷却に置換えるものである。本伝導冷却式HTSマグネットは、15〜20 Kの温度で稼動するように設計されている。この伝導冷却は、可能性のある海軍関連応用に対して、高い可搬性とシステム性能の改善等、多くの有利性をもたらすであろう。
海軍研究局(ONR)と軍備取得研究開発庁(DARPA)から資金支援を得ている本研究は、最終的には潜水艦及び船舶推進用のため、30,000 hp超伝導モータの開発を目指している。
(相模)