SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 7, No. 4, Aug. 1998.

17. 第5回 高周波下の高温超電導体シンポジウム
学会出席雑感_


 The 5th Symposium on High-Temperature Superconductors in High-Frequency Fieldsが6月22日から6月25日までスエーデンのストックホルムに於て開催された。2年毎に米欧のいずれかでなされてきた。前回はカルフォルニアのアシロマ、前々回がケルンであった。2年後はどこにするかを今回は出席者全員の投票で決められた。候補はボストンとイタリア・カプリそして日本(開催地域まで特定しなかった)である。

 投票結果はイタリア・カプリになった。このようにして公開の席(公式バンケット中)にて出席者全員の投票で決められるという経験が我々日本人になかったせいか(成果)、事前の根回しや他のグループの動向調査にもとづく票読みなど全然できず、大人と子供の勝負のような様相を呈していた。そこで、超電導体ならぬ日本と欧米の文化比較論で反省してみたい。

 専門的な少数責任集団をまず決定し、資金計画、ワーキンググループを確定し提案者の結束を強化してから、ただ形式的に「おまかせあれ」と全体会議に提案する。一方、シンポジウムに参加してくれそうな一般参加者に情報を流し、多数派工作をし、票読みが終了した後に、ただ形式的に「おまかせあれ」と全体会議に提案する。これは、「良い商品は必ず売れる」と考えるのと、「買ってくれる商品が売れる」と考える経営方針の違いといえる。

 さて、日本開催の提案グループはどのような経営方針であったでしょうか。そうそう、このシンポジウムでの特筆はカナダのコムデブ、米のデュポンとロッキード・マリエッタの共同による、衛星搭載マイクロ波超電導システム開発の提案でした。

(述懐投筆)