開発を担当した住友電工の加藤武志研究員は、『今回の高速励磁は、7T高温超電導マグネットという実用製品が実際にパルス励磁が可能であることを示した点で意義が大きい。7T/分の高速励磁時はコイル温度が最高23Kまで上昇したが、マグネットは安定に運転出来た。この安定性は、20K領域における比熱の高さに加えて、高温超電導線材の臨界温度が高いため温度上昇に対して臨界電流の低下が小さいことが要因であり、高温超電導マグネットならではの特徴の一つである。詳細については、5月21日の1998年度春期低温工学・超電導学会にて発表する予定。今後はユーザーの皆様に高温超電導マグネットの心地よい使い勝手を感じてもらうためにも、製品化を加速していきたい。』と抱負を語っている。
超電導マグネットを用いて磁場中にて物質の変化などを観察する場合、マグネット磁場を増加させているときの物質の変化が問題になるため、この効果をできるだけ小さくするために高速励磁は切望されていた。本マグネットを使用すれば、所定の磁場まで1分以内で到達できるため、このような研究が可能となる。本マグネットは科学技術振興事業団において、高速励磁を活かした磁気科学の研究に活用されており、新たな発見や未知な分野の開拓に貢献するものと期待される。
(Ultra-7)