この中で、欧米の新興高温超伝導線材会社3社を招待し、各社の状況を発表してもらった。今やビスマス系の超伝導テープは確実に商業ベースになっているということがはっきりした。以下に各社の状況を簡単に紹介する。なお、詳細は、(社)未踏科学技術協会 超伝導科学技術研究会発行のFSST NEWSを参照されたい。
発表があったのは以下の会社である。
Nordic Superconductor Technology (NST)(デンマーク)
EURUS Technologies, Inc.(米国)
BICC Cable Limited(英国)
NSTでは、主にBi2223粉末、PIT法による線材、YBCO薄膜等を開発している。線材の長さはkm級の製造が可能でかつ、電流密度は7000 A/cm2クラスを達成している。
NSTの目標は2000年には30 mの高温超電導交流ケーブルをデモすることである。この目標達成のために、ケーブル設計と製作をTechnical University of Denmark、理論応用研究をDEFU、基本的な理解とテープ加工の改良をRISO、そして、ケーブル加工はNKT、NSTはテープ製造の最適化とスケールアップを行うという共同体制をとっている。
最近(98年4月)出した記録は、Bi2223テープで長さ1250 m、幅3.0 mm、厚さ0.18 mmでIcは28 A、Jcは23.3 kA/cm2、Jeは5.2 A/cm2である。
コンタクトしたい方は、E−Mail: j.farre@nst.com
EURUS社のBSCCO2223テープは、現在1 m当たり$35〜$90のものを$20まで下げることが可能であり、かつ、NHMFLやLos Alamos National Lab.との共同研究の結果では、銀を安価なニッケル合金に置き換えることにより、2年以内には1 m当たり$5以下にすることも可能であると見ている。
BSCCO2223テープで作られた17 テスラコイルから成るCurrent Controllerは今年10月1 日に南カルフォルニアEdison Electric社に納入される予定。
BSCCOテープに関しては、3 kmまでの長尺は一本もので供給可能である。温度4Kで200 A以上、77 Kで13,500 A/ cm2のJc、3,500 A/ cm2のJeのテープを最適価格で提供できる。製法としては、Powder in Tube (PIT)ではなく、EURUS社独自のContinuous Tube Forming and Filling process (CTFF)という方法を採用している。
さらなる情報が必要な方は以下にコンタクトして下さい。
仁木工芸(株)取締役東京支社長 仁木 三夫
E-Mail:/mitsunik@magical.egg.or.jp
電話03(3456)4700
BICC社では、高温超電導開発の過去の実績として、95年、96年には400 MVA、40 kAの直流ケーブルのプロトタイプを設計・製作・試験し、温度31Kで11,000 Aを達成。これは今でも世界記録である。これ以外にもCERNの大型ハドロン衝突型加速器用の電流リードを製作し、13,000 Aの通電が可能である。
Biのtape in tubeという製法で作った導体と通常の複合多心線の方法で作った27 フィラメントテープ導体の対歪み特性が新製法の方が優れている。
営業的にはCryobiccという商品名で販売しており、標準は200 m長であるが、最長1.2 kmまで供給が可能である。200 m超の線材の臨界電流値は25〜30 Aで、Jcは約15 KA / cm2で、標準の導体サイズは3 mm×0.3 mm、121フィラメントである。
もっと詳細な情報を知りたい方は以下に連絡して下さい。
E-Mail:wblendl@bicc.co.uk
(OH)