SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 7, No. 2, Apr. 1998.

12.4端子電気抵抗測定の盲点を指摘
__ カンタムデザイン社 _


 米カンタムデザイン社は最近発行したtechnical bulletinで、4端子法による電気抵抗測定においても、電圧端子間の接触抵抗のアンバランスと電圧計の同相信号除去比(CMRR)が有限なことに起因して寄生電圧が発生する、"common-mode leakthrough"について解説し、特に高温超伝導体の測定ではこの効果が問題になることがあることを指摘している。例えば同社のPPMS物理特性測定システムのACトランスポートオプションを利用して励起電流10 mAで測定を行った場合、接触抵抗に1 Ωのアンバランスがあると約0.5 mΩの誤差が生じるという。また、この誤差を除くためにリード線の抵抗のバランスをとる方法についても述べられている。

 通常用いられるDCナノボルトメータのCMRRは交流のアンプに比べ1〜2桁高いことが普通であり、4端子法と電流反転法を用いたDC電気抵抗測定ではグラウンドの取り方に気をつければAC測定に比べてcommon-mode leakthroughの影響は小さくきると考えられる。しかし、ナノボルトオーダーの感度をもつ測定器が比較的安価に手に入るようになった今日、ツイストペア、シールドなどの実装技術とともにCMRRの問題も真剣に考える必要があろう。

 カンタムデザイン社の供給するPPMS やMPMS SQUID磁束計は、高性能でありながら高度に自動化されているため広く研究機関に普及しているが、特に大学院初年度学生など、実験経験の浅いユーザーにとっては完全な「ブラックボックス」となってしまい、真の実験技術が身につかないとうという問題はかねてから指摘されていた。同社ではこのような学生を主な対象に、今後もtechnical bulletinを通じて「一般的な実験教科書には記載されていないような実験技術」について紹介していく予定であるという。このtechnical bulletinはカンタムデザイン社(日本支社Tel. 03-5954-8570)から入手できる。

 このようなメーカーの供給する技術情報誌、カタログは他にもあるが、温度計測実装技術に関してLakeShore社カタログ、測定一般に関してケースレー社「高感度測定ハンドブック」(以上、東陽テクニカ扱いTel. 03-5688-6800)は参考になる。

 ヒューレット・パッカード社(Tel. 03-3335-8947)も様々なアプリケーションノートを発行している。

(バウハウス)