SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 7, No. 1, Feb. 1998.

6. 6T HTSマグネット製作の為コンソーシアムを設立
− EDF社 −


 フランスの巨大電力会社であるEDF(Electricite de France)社は、本誌(Vol6, No3)上でも取り上げたように、米ASC社及び独ABB社と組んでHTSトランス(630 KVA)を開発し、実証テストを継続中であり、最近はピレリー(Pirelli Cable)社と共同で、ヨーロッパの地下ケーブル網建設を目指して、30〜50 mの地下電力ケーブル原型を開発する計画を発表する等、その積極的な動きが注目されていた。EDF社はこの度、20〜40 Kで稼動し高磁界を発生する高温超伝導(HTS)コイル製造技術の開発を目的とするコンソーシアム設立を明らかにした。

 このコンソーシアムには、EDF社、Alcatelケーブル会社、Oxford Instruments社、Hoechst社、オランダのナイメーゲン大高磁界研究所、及びフィンランドのタンぺール工科大学が含まれているという。プロジェクトの主目標は、閉サイクル冷凍機冷却により、6 Tの磁界を発生できる実証マグネットを製作することである。コンソーシアムでは、5年以内に商用機に連がる原型マグネットの製作を目指している。R&Dチームの計画によれば、今後の実験で、溶融鋳造法によるBi2212バルク、浸漬コーティングBi2212導体、極細多芯PIT法ツイスト線(Bi-2212、Bi-2223)等を試す予定になっている。

 プロジェクトの目標としては、先ずMRI(核磁気共鳴画像装置)用、計測及び実験室用DCマグネットの開発であり、次いで1〜20 MJ容量のSMES(超伝導磁気エネルギー蓄積装置)用パルスマグネットの開発を挙げている。このように、当コンソーシアムは、ヨーロッパにおけるHTSのマグネット応用関連の開発センターになると考えられ、今後の進展を注目していきたい。

(高麗山)