東京電力と住友電工のグループは、既に三相一括の7 mケーブルや課電端末・液体窒素強制循環冷却システムを組み込んだ30 mケーブルシステムを開発し、今後の開発動向が注目されていた。現在までの検討結果からは、高温超電導ケーブルの特徴は、大きな電流を小さなケーブルで流すことの出来るコンパクト性にあり、テープ状の線材を多層スパイラルに集合した従来型のケーブルでは、交流損失が大きく、冷却管が大きくなるので、大幅なコンパクト化は困難であった。大電流化しても交流損失が低減できる高温超電導線とそれを用いた導体の開発が関係者の一致した課題であった。
今回、共同研究の成果として、断面構造や加工方法を工夫することにより、丸線型で臨界電流密度を10,000 A/cm2に向上させ、撚り合わせることを可能とし、転移型導体に出来ることから、導体に均一に電流を流すことが可能となったもの。ISS'97のClosing Sessionではアイオワ州立大のClem教授がこの成果を取り上げ、重要性を強調したほどであった。東京電力の岩田良浩グループマネジャーは、「今回開発した技術が実用化できれば、コンパクト送電の実現が可能となり、今後さらに線材性能の向上とともに導体の低交流損失化を進めるとともに周辺技術の開発も進めて行きたい」と抱負を語っている。
(マンマル)