SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 6, No. 6, Dec. 1997.

4. ロシアで超電導ウィグラーを開発
− 科学アカデミー核物理研 −


 下記情報は、国際科学技術センター(ISTC)に出向している科学技術庁担当者より得られたもので、ロシアの超電導技術に関するものである(jetro technology bulletin・97/9 No.378)。ISTCは、米国、EU、ロシア、日本が共同出資してモスクワに設立した、主として旧ソ連の大量破壊兵器関係者・技術者の軍民転換を支援する機関である。

超電導ウィグラーの開発
  1. 日本の出資で、97年3月からBudker Inst. of Nuclear Physics(科学アカデミー傘下)にて開始。予算は2年間で1,000千ドル。
  2. 超高真空、均一強磁場、高度制御機構等の技術を活用し、高性能ウィグラー(電子の円軌道を磁場で曲げて、短波長や強い光を得る装置)の開発をする。10-12テスラの超電導磁場(ウィグラー用としては世界最強)を用いて、高輝度の低エネルギー・ポジトロン(陽電子)ビームを発生させるもの。
  3. 本設備は日本の理化学研究所と共同開発し、西播磨研究学園都市のSpring-8に取り付ける予定。
 Spring-8に合体された超電導ウィグラーは1秒間に1010個という世界一の陽電子ビーム発生装置となり、材料表面のミクロ観察、格子欠陥検出、マイクロマシン用細密加工等に威力を発揮するという。

(相模)