SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol. 6, No. 4, Aug. 1997.

14. ドイツでHTS-SQUIDのベンチャー設立
− JSQ社 −


 このほど、ユーリッヒ研究センター(ドイツ国研)の薄膜技術研究所(ISI)をスピンアウトした職員によって、rf-SQUID及び関連装置を製造する会社、JSQ(Juelicher SQUIDGmbH)が設立されたことが明らかになった。JSQ社は薄膜技術を援用して数種類の高温超伝導(HTS)のSQUID及び関連電子装置を製作する計画である。JSQ社製装置はすべて上記のISI研究所でY. Zhang氏が率いるチームにより開発されたものである。

 JSQ社は、最近勾配磁束計1台と通常磁束計2台を納入したが、これらの磁束計は銅コイルによるタンク回路を使用しており、300 MHzのタンク周波数で動作する。この他に650及び800 MHzで動作する4台の磁束計を納入している。4台の高周波型磁束計には、Zhang氏の新しい共平面型超伝導タンク回路が用いられており、低ノイズ特性(16 pT/Hz1/2)と4 mT/sの高速の立ち上がりを実現している。JSQ社製勾配磁束計は、1 pT/cmHz1/2以上の良好な磁場勾配解像力を有し、移動中の動作、例えば飛行機の非シールド格納庫中においても安定な動作が実証されている。JSQ関係者によれば、同社の製品は現在ギーセン大に所属しているC. Heiden氏によって始められたISI研における長期の研究開発の成果であるという。1993年以降は、A. Braginski氏がISI研で研究の指揮をとっている。

(Y)