SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.23, No.5 October, 2014 


300 m級超電導き電ケーブルで車両走行試験始まる!         _鉄道総研_


  公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)は、20147月より国立研究所内試験線において全長310 mの直流超電導き電ケーブルを製作し、電車の走行試験を開始した。鉄道総研は、昨年度に31 m長の超電導き電ケーブルによる電車の走行試験に成功しており、今回はその10倍の長さとなる。

超電導ケーブルを鉄道の電線に適用すると、電気抵抗ゼロの性質から電圧降下が発生しない。そのため、送電損失低減に加え、ブレーキ時に発生する回生エネルギーを有効に利用できるようになる。また、変電所の間隔は路線の電圧降下から定まっているため、間隔を延長することができ、変電所数の削減も可能となる。

今回製作した超電導き電ケーブルは、標準的な鉄道直流電圧であるDC 1.5 kV仕様で、従来の超電導ケーブルと異なりフォーマ内に冷媒経路を有している。このため見掛け上1本で冷媒の循環が可能となる。また、線路跨ぎや踏切跨ぎ、冷却による熱収縮緩和手法などもとりいれており、実用化を意識した敷設としている。

研究開発推進室担当部長(超電導き電ケーブル課長、超電導応用研究室長兼務)の富田優氏によれば、「310 m長の極めて実路線に近い敷設作業を行い、31 m長ケーブルの実験経験を基に、昨年春から6回の冷却・通電実験を繰り返してきた。その都度、ケーブル部と端末部を中心に改良と調整を重ね、電車走行に必要なシステムが完成し、時速45キロの車両走行試験に踏み切った」とのこと。今後は、走行試験を重ね信頼性を向上させていくとともに、各評価試験結果から超電導き電ケーブルのシステム構築を進め、鉄道路線への導入を目指すという。(DietBIGMac)

 

                                                     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テキスト ボックス: 図1 300 m級超電導き電システム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テキスト ボックス: 図2 車両走行試験の様子(超電導き電ケーブルと電車)。