SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.24, No.5 October, 2013


≪会議報告≫

11 th European Conference on Applied Superconductivity 2013 [EUCAS2013]

(September 15-19, 2013, Genova, Italy)

【 Special Session: HTS Conductor Form ? The device Builders' Point of View 】


 9/18( 水 ) 夕方には、フロリダ州立大の Larbalestier 教授、イタリア National Research Council (CNR) 超電導研究所 (SPIN) の Braccini 博士が座長となり、掲題の特別セッションが開催された。
  このセッションは、各種応用サイドから線材への要求に対して、 Bi 系、 Y 系、 MgB 2 などの線材側から現状と将来見通しを述べることで、今後の超電導応用の見通しを明らかにしようとするユニークな試みであり、応用側、線材側が一堂に会して 3 時間半に及ぶ活発な議論が行われた。
  応用側からは、限流器について CNRS Grenoble の Tixador 博士、研究用や加速器用の高磁場マグネットについて National High Magnetic Field Laboratory の Trociewitz 博士及び CERN の Todesco 博士、電流リードについて KIT の Heller 博士、次期 LHC 用給電システムの Superconducting Link について CERN の Ballarino 博士、バルク応用についてケンブリッジ大の Cardwell 教授、風力発電機について Technalia 社から報告があった。線材側は Bi2223 について住友電工の林氏及び中国の InnoST の Han 教授、希土類系 coated conductor について Bruker HTS の Usoskin 博士、 AMSC の Fleshler 氏及び SuperPower の Hazelton 氏、 Bi2212 について NEXANS の Rikel 氏及び Oxford Superconductor の Parrell 氏、 MgB 2 について Hypertech の Tomsic 氏及び Columbus の Grasso 氏から報告があった。
  限流器については、対象となる線材は希土類系になるが性能的には要求に近く、コストの課題が強調された。高磁場マグネット応用としては Bi2212 が高性能で期待が大きかった。加速器用マグネットについては現在の LHC では NbTi が使われているが次世代機はまず Nb 3 Sn を採用、次々世代の HE(High Energy)LHC で高温超電導に期待するとの発言があった。電流リードでは、核融合用などの大電流用途で線材をスタックして使用するケースを考えると、希土類系は課題が多く、安定性を考えても Ag-Au 合金シースの Bi2223 が使い勝手が良いとのことである。 Superconducting Link では、別セッションで Columbus 社の MgB 2 を採用するとのアナウンスがあったが、 Special Session での言及はなく、必要となる 500 km 以上の 0.85 mm f MgB 2 の調達計画が示された。風力発電機については 10 MW 機への MgB 2 の適用を想定しているとのことであった。
  Bi2223 線材については、住友電工の林氏からは住友電工製 Bi2223 線材の仕様、生産能力、応用例、接続技術及び接続機の開発・販売による普及促進、新規補強材による 500 MPa 級高強度線材の開発等が紹介され各種応用用途への対応が可能になっている状況が示された。 InnoST からは現状は性能で住友電工に及ばないものの 2015 年ごろにはキャッチアップするとの意欲的な発表があった。希土類系については、いずれも Coated Conductor の Session での発表とほぼ同じ内容であったが、 AMSC 社からは基板に非磁性の Ni-9%W を用いることが可能になってきていること、最近は 4 mm 幅あたり 140~160 A の線材が量産可能になっているなど量産品の改善が進んでいることが強調された。 Oxford 社の Bi2212 線材では、 4.2 K 、 20 T で J e = 500 A/mm 2 の線材が $300~500/kAm @ 4.2 K 、 20 T で量産可能であるとの報告があった。 MgB 2 についても MgB 2 のセッションでの発表とほぼ同じ内容であったが、 Columbus 社が量産段階に入っていること、 Hypertech 社の内部 Mg 拡散法で J c の改善が進んでいることが注目される。
  線材に関する議論の中では、 Bi 系の銀による限界コストへの懸念等が話し合われたが、元 CERN の Taylor 博士の「銀は線材コストの主要部分ではない」とのコメントが印象的であった。
従来線材技術が個別に報告される場合は、各社、各線材の良い点のみが強調されがちであるが、今回各線材メーカーが一堂に会して報告、議論が行われることで聴衆の応用研究者、技術者の方々にとっても同じ目線で線材の比較ができたのではないかと思われる。本セッションの個別発表は論文化されないが、各報告と当日の議論をまとめて論文化しプロシーディングスに掲載する方向で座長以下関係者間の調整が進んでおり、参加できなった方も全貌を知ることができることになろう。 ( ビス子 )

 

Large Scale

 EUCAS 2013 は, 2013 年 9 月 15 日から 19 日に掛けてイタリアのジェノバで開催された。事務局発表の総参加者数は 1,055 名で,日本が最多の 173 名,次いで開催国イタリアの 155 名,ドイツ 120 名,アメリカ 73 名,ロシア 56 名 (Exhibitors 含む ) と続く。
  Large Scale の分野では,オーラル 47 件,ポスター 148 件の合計 195 件の発表があった。このうち,最多は、全体参加者でも最多である日本の 34 件であった。次いでドイツとロシアの 18 件だった。以下,韓国 (16 件 ) ,中国 (15 件 ) ,イギリス (13 件 ) ,スイス (13 件 ) ,アメリカ (10 件 ) となっている。オーラル発表に限ると、スイスの 7 件が最多で、以下、アメリカとドイツが 6 件、中国とイギリスが 5 件、日本、イタリア、フランスが 3 件となっている ( 筆者調べ ) 。
  Large Scale 分野のオーラル発表は Room Scirocco という部屋を使用して行われた。座席は 120 人分ほど用意されていたが,ほとんどの講演で立ち見が出るほどの盛況さであった。ポスター発表では,全分野の発表が Exhibition Area にて 3 日に分けて行われたが,こちらもいずれの日も往来が困難なほどの人出となり,活発に意見交換がなされていた。
  中国の参加が増加していることは以前から感じていたが、オーラル発表の件数も多く、質・量ともに充実してきている印象を受けた。また、ロシアからの参加者・発表件数が多く,また,増加傾向を示しており,この国での超電導研究が活性化していることが肌で感じられた。
  Large Scale のアプリケーションの中で、最も活況を呈していたのは Power Grid であったように思う。 1 km の BSCCO 超電導ケーブルで 2 変電所間を結ぶ Essen 市での AmpaCity プロジェクトについては、 Nexans SuperConductors の Hobl らから報告があった。超電導限流器 (SFCL) の in-grid での実証が進み, 1.4 kA での損失が, 3 相計で約 1 kW だったとのことである。また,イタリア初となる SFCL については, Ricerca sul Sistema Energetico の L. Martini らから Bi 系線材にて, 9 kV-3.4 MVA を 1 年以上に渡って問題なく運用しており, 12 kV-220 A の目標に向けてアップグレードを予定しているとの報告があった。この他,中国の Innopower の Y. Xin らからは天津市での 200 kV-300 MVA SFCL が 3 年以内には導入の上,成否が結論付けられるだろうとの報告,オランダの Technical University of Delft の R. Zuijderduin らからはオランダに超電導ケーブルを導入するときのシナリオについて検討した結果についての発表などがあり,各国で導入に向けて検討が加速しているとの印象を受けた。日本からは,住友電工の M. Watanabe らから旭変電所について,古河電工の M. Yagi らからは中国の瀋陽についての報告があった。
  超電導フライホイールについては, 3 件報告があった。鉄道総研の荒井らは、 Bi 系線材を用いたコイルの磁場と,超電導バルク体の反磁性の組合せを用いた支持方式を適用し,小型試験装置では剛体モードを超えた 3000 rpm の回転を実証し、実規模荷重試験装置では,最大 6 トン以上の電磁力を発生しながら,非接触浮上および非接触回転を実証したことを報告した。
  ドイツの ATZ (Adelwitz Technologiezentrum) の F.N.Werfel らは, 2G 線材による超電導コイルと超電導バルク体を組合せたフライホイール軸受を解析により示し,従来彼らが用いていた永久磁石と超電導バルク体の組合せよりも数倍の荷重を受け持つことができることを報告した。超電導コイルは伝導冷却による約 50 K 運転,ロータとなるバルク体は液体窒素冷却とのことである。回転しつつ供給する必要が生じるため、この機構の高速化が貯蔵エネルギーを握ると思われる。
  Moscow Aviation Institute の K.L.Kovalev らは永久磁石と超電導バルク体を組合せた超電導フライホイールについて開発しており, 100 kg の鋼製ロータによる 0.5 MJ 蓄積に成功している。今後は解析等に基づき, 500 kg のガラス繊維ロータとすることで, 5 MJ へのスケールアップを計画しているとのことである。
  LNG タンカーでは冷温があり、重量等の制約が比較的緩く、消費エネルギーが膨大であるため、超電導の応用先として期待される船舶としては、 Nexans France の C.E.Bruzek らから,発電機とモータをつなぐ超電導ケーブルに接続ついての報告があった。出力 5 MW 以上の船舶では, f 20 mm のケーブルを 50 本用いて送電しているが,これに超電導ケーブルを用いると f 60 mm が 1 本で済む。これについて, MgB 2 を線材として選択し,実証をしたとのことである。
  ユニークな例としては, Russian Scientific R&D Cable Institute の V.Vysotsky から、液体水素と超電導ケーブルのハイブリッドエネルギー輸送について報告があった。超電導ケーブル (MgB 2 ) で電力を送るだけでなく、その寒材として燃料電池に用いることのできる液体水素を同時に流し、大量のエネルギーを輸送するプロジェクトで、 Hydrocity (Hydren+Electricity) と彼らは呼んでいる。液体水素で 250 g/s 、電気で 2.5 kV-20 kA の合計 100 MW 相当を実験室レベルで実証したとのことである。
  ブラジルの Fluminense Federal University の D.H.N.Dias からは、バルクと永久磁石を利用した磁気浮上輸送として、 Maglev Cobra の 200 m 試験線が 2014 年の 9 月には運用開始するとの報告があった。 2014 年 9-10 月には、リオデジャネイロで Maglev2014 という国際会議が開催されるので、その際に報告・デモ・試乗などがあると期待される。( 鉄道総研 荒井 有気 )

 

Bi 系線材】

 Bi 系超電導線材とその応用に関して、セッションの発表は、口頭で 17 件、ポスターで約 11 件ほどであった。 Bi 系線材自体の開発の発表は少なく、線材を利用した応用の開発の発表が多数であった。応用では、実系統試験の発表が多く、実用化に向けて一歩一歩ではあるが、進んでいると感じた。様々なセッションでの発表があったが、会期中に聴講できた発表を中心に報告する。本稿で取り上げることができなかった発表がある点について、ご理解頂きたい。
  住友電工の山崎らは、 DI-BSCCO ( Bi2223 )線材の高 J e 及び高強度化の開発について報告した。高 J e の開発では、 I c を維持したまま Type H の厚みを薄くした New Type H の開発に成功し、これにより J e は 15% 増加したと報告した。また、高強度化の開発では、新補強材 XX ( 厚み 35 m m) と New Type H の組み合わせにより、 530MPa を超える臨界応力が得られたことを示した。さらに、 1 万回の繰り返し応力 485 MPa ( 歪み 0.48%) の引張疲労試験の結果も示し、試験後に I c や n 値に劣化が見られないことを報告した。
  Bi2223 線材を使用した応用の発表は、電流リード、ケーブル、限流器と数多く報告された。電流リードに関しては、熱伝導率を減少させることを目的に、金が添加された Bi2223 線材を使用したリード開発が、他の線材と比較して、特に進んでいるように見えた。 ASIPP の Ding らは、 ITER 用に 10 kA から 90 kA 電流リードの開発状況、 CRPP の Wesche らは、 25 T ハイブリッドマグネット用の 20 k A 電流リードの開発状況について報告した。ケーブル応用の実証試験として、住友電工の渡部らは、東京電力の旭変電所にて、 2012 年 10 月に開始した超電導ケーブルの実系統試験が順調に運転を続けていると報告した。 Nexans の Stemmle らは、ドイツの AmpaCity プロジェクトの進捗状況について、ケーブル製造完了し、 2013 年末までに試験開始の計画との報告があった。限流器応用としては、 InnoPower の Xin らは 220 kV/300 MVA の鉄心飽和型限流器を開発し、 2012 年第 4 四半期から、中国の天津石各荘変電所にて実系統試験を継続中であると報告した。 ESRE の Angeli らは、イタリアの FCL プロジェクトの進捗状況について、 Phase I (2009~2013 年 ) では、開発した 9 kV/3.4 MVA の抵抗型限流器を S. Dionigi Substation に敷設し、 10 ヶ月間の実系統試験を無事終了したと報告した。さらに今後、 Phase II (2012~2015 年 ) では、 9 kV/15.6 MVA の抵抗型限流器の開発を計画していると報告した。
  フロリダ / 強磁場研の亀谷らは、フィラメントが高密度化し、従来の J c よりも 6 倍高くなった Bi2212 丸線材を用いて、 Bi2212 フィラメント内の結晶粒の EBSD の評価結果について報告した。線材材加工中にスエージ加工、 CIP 及び HIP 熱処理により、フィラメントの高密度化に成功し、電流パスの阻害要因である空隙をほぼ撲滅させたことで、 Bi2212 結晶粒界の評価が可能となった。 EBSD で評価を行い、 Bi2212 結晶粒界の角度のズレがあること、さらに異相 (Bi2201) が存在し、フィラメント内で完全に Bi2212 結晶同士が接合させていないこと示し、 Bi2212 丸線材のさらなる高 J c への可能性を示唆した。
  Bi2212 丸線材を使用した応用の発表に関しては、フロリダ / 強磁場研の Trociewitz らは、 ppm レベルの均一性を持つ 24 T 以上の NMR 用マグネット開発状況について報告した。インサートに HTS coil を配置する設計であるが、 HTS 線材には、遮蔽電流による磁場のドリフトが問題視されている REBCO 線材ではなく、 Bi2212 丸線材を用いる。 Wind & React 法で Bi2212 コイルを製作するが、高密度化により臨界電流特性が向上した知見を活かして、現在製作中 (2013 年 10 月に製作完了予定 ) の HIP 熱処理炉を使用し、コイル形状での熱処理を予定していると報告があった。 ( 住友電工 山崎 浩平 )

 

MgB 2 】

  EUCAS2013 はイタリアの港町ジェノバで開催された。ジェノバはアメリカ大陸を発見したコロンブスの生誕地であるとともに、ジェノバ大からのスピンアウトで 2003 年に誕生した Columbus Superconductors 社 ( 伊 ) の設立地でもあることから、読者の皆様も馴染み深い土地であろう。本会議は Columbus Superconductors 社 ( 伊 ) の多大なる貢献のおかげか、 MgB 2 に関する展示・発表・議論が非常に活発に行われていた。 MgB 2 関連のブースとしては、線材で Columbus Superconductors 社、 Hypertech 社 ( 米 ) の 2 社が、原料粉末で Pavezyum Chemistry( 土 ) の 1 社が出展していた。さらに本会議の展示の目玉として、会場入口に MgB 2 線材を用いた Open-MRI の実機 ( 本誌 Vol.16, No.5, October. 2007 を参照 ) が展示されており、大きな注目を集めていた。口頭発表としては ”MgB 2 wires”, ”LTS and MgB 2 ” の 2 つのセッションがあり、 12 件の発表 ( 国別では日本、イタリアが最多の 3 件ずつ ) があった。ポスター発表としては ”MgB 2 ”, "LTS and MgB 2 - Films and Multilayers", "LTS and MgB 2 - Bulk" の 3 つのセッションを中心に、約 50 件の発表があった。基礎特性や材料高度化だけでなく、 MRI マグネット、超電導ケーブル、風力発電機などの応用機器を目指した報告が 5 件程度あった。また ”HTS Conductor Form - The Device Builders' Point of View” と題した特別セッションでも MgB 2 に関する発表が 3 件あった。少しではあるが、気になった発表を以下に紹介する。
  上記特別セッションでは線材ユーザー ( 主に研究機関が中心 ) 、線材メーカーが一同に介して、横断的な討論が行われ、 MgB 2 線材の紹介が Tomsic 氏 (Hypertech 社 ) 、 Grasso 氏 (Columbus Superconductors 社 ) から、また MgB 2 バルクの紹介が Cardwell 氏 (Cambridge 大 ) から行われた。 Cardwell 氏によれば、近年 MgB 2 バルク体の開発が急速に進んでおり、 Ishihara( 鉄道総研 ) 、 Yamamoto( 東大 ) らのグループにより、 30 mm f 試料で 4 T@11 K が本会議で報告され、 RE123 溶融凝固バルク同様、期待の材料であることが報告された。
  Kario(KIT) らは 0.5 mm の銅フォーマに 0.5 mm f の MgB 2 線材をツイストピット 11.3~20.3 mm で劣化なく巻き線するのに成功するとともに、電着技法により銅安定化相の付与、ならびに厚みの制御に成功したことを報告した。一般の銅酸化物高温超伝導体を用いた超伝導ケーブルでは曲げ限界からフォーマ径が大きいこと、銅安定化相を線材毎に行うことなどが通常となっているが、 MgB 2 の金属的な性質を活かした手法を用いコンパクトケーブルを実現しており、非常に興味深かい発表であった。
  Yamamoto( 東大 ) らは 既製の MgB 2 粉末を加工・熱処理することで MgB 2 線材を得る ex-situ 法を検討した。 900 ℃ 程度の高温で長時間の熱処理を行うことによって、常圧下においても MgB 2 の自己焼結が生じ、原料粉末の結晶界面を制御することでコネクティビティと臨界電流密度が大幅に向上することを報告した。
  Prikhna ( ウクライナ大 ) らは MgB 2 の高圧合成について報告を行った。 In-situ 法においてホットプレスで 2000 MPa の圧力を印加しても、 Mg の融点以下の 600°C では反応があまり進まないこと、 1050°C で焼成すれば高いコネクティビティが得られ、 20 K で J c が約 1 MA/cm 2 となることを報告した。一方で、スパークプラズマ法を用いれば 50 MPa の圧力でホットプレス試料を上回るコネクティビティが達成できるが、 J c が約 0.5 MA/cm 2 までしか達しないこともあわせて報告した。 ( 鉄道総研 石原 篤 )

 

RE 系線材】

 RE 系線材に関するオーラルセッションでは、 SuNAM の Moon は、 RCE-DR (Reactive Co-Evaporation by Deposition & Reaction) 法と呼ばれる手法を開発し、高速で長尺の線材が作製可能であることを示した。 1000 m を超える Gd123 線材が得られている。 Denmark 大の Zhao らは、化学溶液堆積 ( CSD ) 法を用いて Gd 2 Zr 2 O 7 と La ドープ CeO 2 で構成されたバッファー層を堆積した。その上で、フッ素含有量を減らした低 TFA プロセスを用いて 77 K 自己磁場下で 1 MA/cm 2 を超える薄膜の作製に成功した。 Ghent 大の Feys らは、ピエゾ方式のインクジェットを用いて水溶液を塗布する、溶液の無駄がほとんどないプロセスを提案し、この手法を用いて単結晶基板上に Y123 配向膜を作製することに成功した。インクジェットを用いることで Y 系においても多芯の線材が作成できる可能性が示唆された。 Cambridge 大の Patel らは、 RE123 線材を 12 mm 四方に加工し多層積層することで、超伝導体積分率は全体の 2% に満たないものの、低温に置ける捕捉磁場特性が同じサイズのバルク体に比べて大きく優れるという報告を行った。磁場中冷却法によって着磁することにより 4.2 K で 7.3 T 、 20 K で 6.3 T という高磁場の捕捉に成功した。薄膜積層による複合バルク磁石の有用性が示唆された。 Ghent 大の De Keukeleere らは、 ZrO と BaZrO 3 をそれぞれナノサイズに粉砕した粉末を混合した溶液を用いて、 ex-situ で人工ピンニングセンター (APC) を導入する手法を提案した。 in-situ で溶液から APC を成長させる従来手法に比べて、粒径分布・粒成長をより容易に制御可能であることが特徴として挙げられる。溶液中に均一にナノ粒子を分散させる必要や安定な溶液の調製など課題も多い。 ICMAB の Palau らは、溶液法を用いた Y123 薄膜中に Ba 2 YTaO 6 で表されるナノ粒子をドープすることで等方的にピンニング力密度が大きく増大することを報告した。これに関して Y124 型の Cu-O ダブルチェーンが導入されたことによりナノサイズの負荷が働くことも特性向上に寄与していると考察した。
  ポスターセッションでは、 ?nonu 大の Yakinci らは、スパッタ法を用いて Cu サイトに Ti を微量ドープした Sm123 薄膜を MgO 基板及び STO 基板上に作製することに成功した。 Ti ドープ量には最適値が存在し、一定のドープ量までは臨界電流 ( J c ) 特性が向上することを示した。 Putra Malaysia 大の Awang Kechik らは、 PLD 法を用いて STO 基板上に Gd 2 Ba 4 CuWO y ( Gd2411 ) を含む Y123 薄膜を作製した。 Gd2411 は数十 nm 程度のサイズで分散しており、 1 mol% のドープによって大きく J c 特性が向上することを報告した。東大の Motoki らは、フッ素フリー MOD 法用いて塩素ドープ Y123 薄膜を作製した。微量塩素ドープを行うことで、 Ba 2 Cu 3 O 4 Cl 2 で表される酸塩化物が Y123 母相の配向を乱すことなくコヒーレントに析出し、磁場中での J c 特性が大きく向上した。また、この酸塩化物を生成させることで J c 特性を維持したまま厚膜化することが可能であることを報告した。 AIST の Ogiso らは、 5 MeV 以下の中エネルギーのイオン照射を Y123 薄膜に照射し、その効果について報告した。 3 MeV の金イオンをフッ素フリー MOD 法 Y123 薄膜に照射した際、最大で 4 倍の磁場中 J c の向上が示された。 ( 東京大学 元木 貴則 )

 

RE 系バルク】

 HTS Bulk セッション内で 4 件の口頭発表があった。 Cambridge 大の Durrell らは銀添加・ステンレスリングで補強した 2 個の GdBCO バルク (~ 24 mm f ) 間にホールプローブを設置し着磁を行い、 24 K で 13.7 T までの着磁に成功したことを報告した。東京海洋大の Zhou らは Infiltration Growth 法を改良し、 Y123 を液相源として、 Y123 ペレットの上に Gd211 ペレットを重ねてバルクを作製した。その結果、 211 相の堆積が減少し、 a-growth 領域におけるサブグレイン構造が大幅に抑制されたこと、捕捉磁場特性が向上したことを報告した。 Cambridge 大の Shi らは、複数の種結晶を用いることで大型バルクを得る「マルチシード法」について、最近の研究成果を報告した。 SmBCO バルクから作製した 2 種類の橋型の種結晶 (0°-0° と 45°-45°) を用い YBCO バルクを作製し、捕捉磁場や粒界の組織を比較した。 45°-45° の種結晶を用いた方が 0°-0° の場合よりも粒界周辺の不純物が少なくなり、橋型の種結晶の脚間の距離が広くなっても捕捉磁場が高く保たれることを示した。上海交通大の Peng らは高超伝導特性の SmBCO バルクを、徐々に徐冷速度を加速させる手法や Sm242 相の添加などを試みることで、大気中で作製したことを報告した。
  ポスター発表でも HTS Bulk セッション等で多くの発表が見られた。 Cambridge 大の Zhai らは初期の 211 相の粉末を種結晶から近づくにつれ多くなるよう勾配をつけた仮焼体から YBCO バルクを作製し、そのバルクにおいて c 軸方向の 211 相の分布が均一に近づいたこと、通常の手法で作製したバルクと同程度の捕捉磁場が得られたことを報告した。一関高専の村上らは、径方向に Gd と Dy の濃度勾配を作った 150 mm f 大型バルクの 77 K での破壊強度の評価を報告した。 2 種類の RE の濃度が変わる箇所は破壊強度に影響しないことを明らかにした。新日鐵住金の手嶋らは 3 種類のサイズの GdBCO バルクを作製し、 64.5 mm f まではバルクのサイズが大きくなるにつれ、捕捉磁場がビーンモデルに従い線形に増加することを明示し、マクロ J c がどの試料でも 77 K で 1.3 x 10 4 A/cm 2 という高い値であることを見積もった。東大の瀬戸山らはバルク作製時に 2 種類の RE 元素を用いる RE 混合効果の検証をし、 RE 混合により 123 超伝導母相の強さを保ったまま RE/Ba 固溶量を制御できることを報告した。また Ba 2 Cu 3 O 4 Cl 2 を添加することでバルクの J c や均一性を改善できることを示した。 ( 東京大学  瀬戸山 結衣 )

 

【鉄系超伝導体】

 本学会では鉄系超伝導体に関して口頭発表で 18 件、ポスター発表で 31 件の発表があった。口頭発表のうち薄膜セッションでは主に PLD 法や MBE 法を用いた 1111 系、 122 系、 11 系の報告が行われ、バルクセッションではこれらの鉄系超伝導体の他に新超伝導体が報告され、活発な議論が行われた。
  フロリダ / 強磁場研の Tarantini らは Co ドープ Ba122 薄膜に CaF 2 をドープすることでピン止め力が 40% 増加すると共に、 J c の異方性が小さくなったことを報告した。ジェノバ /CNR-SPIN の Bellingeri らは FeSe 0.5 Te 0.5 薄膜において、基板を LAO や STO から CaF 2 へと変えることで欠陥の構造が変わり J c の異方性が小さくなったことを報告した。同様に、 東大の今井らからも 11 系薄膜における基板による特性の違いと、 CaF 2 基板が鉄系超伝導体薄膜の作製に有効であることが報告された。 IFW Dresden の Engelmann らは、スピネル上に Fe バッファー層を介して成長した BaFe 2 As 2 について、バッファー層由来の歪み効果によりアンドープでも超伝導が発現することを報告した。名大の生田らは、 BaFe 2 (As,P) 2 薄膜の特性について報告があり、 [001] 粒界角が 24 ° でも 10 6 A/cm 2 の J c が維持されており、面内配向条件が緩和されていることが示された。 ローザンヌ /EPF の Karpinski らは 1111 系の各サイトに元素をドープした単結晶育成、及び新超伝導体発見の報告を行った。新超伝導体 Ln 4 Fe 2 As 2 Te 1- x O 4 (Ln = Pr, Sm, Gd) は、逆蛍石型構造の FeAs 層と蛍石型構造の PrO 層が 1111 系のように重なり合っており、これらの層の間に Te 原子が入った結晶構造を持つ。 Pr 4 Fe 2 As 2 Te 0.88 O 4 は 25 K の T c を持ち、さらに Ln 4 Fe 2 As 2 Te 1- x O 4 (Ln = Sm, Gd) について O サイトに F をドープした試料では 40 K (Ln = Sm), 45 K (Ln = Gd) の T c を示した。 シュツットガルト大の Shlyki らは Ca サイトへ Na をドープした Ca 1- x Na x FFeAs 単結晶育成の成功、及びこの物質が x = 0.11 において 34.5 K の T c を持つ超伝導を発現したことを報告した。この物質は 1111 系と同じ結晶構造を持ち、電気的磁気的異方性 g x = 0.11 において 4.9 と (Ca,Na)Fe 2 As 2 より大きい。 J c や磁化緩和などでも (Ca,Na)Fe 2 As 2 と顕著な特性の違いが見られているそうで、さらに SrFeAsF など他の系への展開も狙っているとのことであった。 中国科学院の Wang は、 Rb-Fe-Se 系化合物について、 Rb と Fe の組成比に対する生成相の相図、単結晶育成と超伝導特性について発表した。物性は Fe 量に対して大きく変化し、ストライプ状に二相が共存する場合のみ超伝導が発現するとのことである。東工大松石らは H ドープした 1111 相、 REFeAs(O,H) において、キャリアドープ量に対し T c が 2 つのドームを作る条件について検討し、 FeAs 角がキーポイントであることを報告した。 NIMS の高野らは、 FeTe を中心に 11 系のバルク超伝導が発現する条件について発表した。 11 系は層間に過剰鉄、あるいは酸素が存在すると考えられ、これらの量によって特性が変化するとのことで、これによりアルコールやアニール処理の効果が理解でき、また処理によっては特性が可逆的に変化するとのことであった。
  フロリダ / 強磁場研の Weiss らはメカニカルアロイングを用いた (Ba 0.6 K 0.4 )Fe 2 As 2 の線材について報告した。 Ag, Cu をシースとした 7 芯、 37 芯、 259 芯線材の作製及びこれらの超伝導特性を示しており、 7 芯線材は T c = 34 K, J c = 100 kA/cm 2 ( 自己磁場下、 4.2 K) であったのに対し、 37 芯線材では T c = 31 K, J c = 50 kA/cm 2 ( 自己磁場下、 4.2 K) とそれぞれ低下していた。これらは 37 芯線材においてシースである Cu が試料内部に拡散していき、コンタミネーションが起こったと考えられる。 NIMS の Gao らは K ドープ Ba122 のテープ線材について、一軸プレス後の試料が非常に緻密な組織を持ち、 4.2 K, 10 T の磁場下において J c が 69 kA/cm 2 を示したことを報告した。
  ポスター発表では東大の為ヶ井らは K, Co, P ドープ Ba122 の PIT 線材の作製及び特性評価について報告した。磁気光学像などから K ドープでは焼成による T c の低下、 Co ドープでは不純物 FeAs, CoAs と弱結合の存在、 P ドープでは不純物 Fe 2 P の存在が明らかになった。 東大の林らは Ba(Fe,Co) 2 As 2 多結晶試料の原料にボールミル粉砕を施した結果を報告した。ボールミル処理により反応性が向上、低温かつ単体元素を用いた焼成が可能になったため粒間 J c が改善した。 また、最終日には中国科学院の H.H. Wen 及び東大下山により基調講演が行われ、それぞれ鉄系超伝導体におけるボルテックス状態の理解及び応用展望について発表があった。( 東京大学 林 雄二郎、荻野 拓 )

 

エレクトロニクス : アナログ関連 】

 ここでは EUCAS2013 でのエレクトロニクス応用 ( 主に SQUID 関連 ) について報告する。 SQUID 関連では、全体として ULF-NMR/MRI および生体応用に関する報告が多く、ナノ SQUID など素子開発に関する報告もあった。
  9 月 16 日のポスターセッション : Squid Design and Fabrication では、イタリアのグループが、 3 次元 FIB 技術を用い、積層した S/N/I/S の NbAl 積層構造に三次元的に横から穴をあけて SQUID ホールを作り、ナノ SQUID を形成していた。ループの大きさは 1 m m × 0.25 m m で、 4.2 K 動作、 I c が 200 m A で、ノイズは 125 m f 0 /Hz 1/2 程度とのことである。同日のオーラルセッション : Junctions and Squids においても、同グループから Nb を用いた nano-SQUID の作製と応用について招待講演があった。 Dayem bridge を用いたナノ SQUID を開発しており、磁束ノイズは 0.7 m f 0 /Hz 1/2 、応用としてナノ SUQID を用いた磁化率測定装置を開発しており、商用の磁化計測装置と同等の性能を持ち、より短時間で磁化計測が可能であることを実証していた。 SQUID 素子関係では、 Juelich 研究所のグループが、 graphoepitaxial HTS-SQUID の作製と評価に関する報告を行っており、特殊な格子配向を有する MgO 基板に 45 度のステップを作り、ステップエッジ接合をもつ SQUID を開発している。大きな面積のピックアップコイルをもつ磁束トランスを SQUID と結合させた場合、 5 fT/Hz 1/2 のホワイトノイズを実現していた。変調深さ Vpp も 30 m V ほどあり、 ISTEC/SRL が開発したランプエッジ接合を有する HTS-SQUID に匹敵する性能を持っていると思われる。
  9 月 17 日には、プレナリー講演において、イタリアの G.L. Romani 氏が MEG の原理から歴史、装置、最近の成果までをレビューした講演を行った。 40 年間の MEG の歴史を紐解きながら、近年の HTS-SQUID での計測の挑戦や、超低磁場 NMR/MRI 、近年注目されている Brain Connectivity の研究までを紹介した。同日のポスターセッション : Biomedical Squid Applications では、日本を含め、アジア ( 特に 台湾・上海 ) からの発表が数多くあった。日本からは、 九大の円福グループが、磁気微粒子イメージング測定用に、リッツ線を用いた窒素冷却磁束トランスを開発して high- T c SQUID と結合させることで、 Q 値が 110 、共振点での換算ノイズ 12 fT/Hz 1/2 を実現した。本装置を用いて磁気微粒子の磁場分布計測を行っている。金沢工業大学では、軸型 LTS-SQUID グラジオメータを用いた超低磁場 NMR/MRI 装置を開発し、磁場勾配コイルと電源を最適化することで比較的 SNR のよい二次元 MRI 画像を取得していた。また、同グループが開発している SQUID による脊髄誘発磁場計測装置 ( MSG ) の開発に関する報告があり、ファントムを用いた計測と信号源解析においても高い一致が得られており、着実に進歩していること伺われた。台湾の グループは、 SQUID の超低磁場 NMR/MRI 応用研究として、従来のμ メタルシールドを用いず、磁場の不均一性は勾配コイルで補償し、アルミの 4 層シールドの中にコイル群 ( 磁束トランスを含む ) を入れて NMR/MRI を計測する装置を開発した。分極磁場は 53 mT で、比較的 SNR の高い二次元 MRI を計測している。他にも、 High- T c SQUID ベースの超低磁場 NMR/MRI に関する報告があり、癌細胞と正常細胞の違いを、 MRI 画像強度の違いから検出できる可能性を示した。また、磁気微粒子の濃度を変えたサンプルを用意し、 T1 および T2 強調画像により、微粒子濃度による違いが明確に表れることを実証していた。また、別の報告では、癌細胞と結合する修飾をつけた磁気微粒子を小動物に導入し、癌組織と結合させて体外での磁場分布を SQUID で計測し、位置同定などを行う研究を行っていた。外科手術をナビゲートすることが目的となる。上海のグループは、ドイツの Juelich グループと超低磁場 NMR/MRI に関する共同研究を行い、環境ノイズの大きい通常都市環境下で、磁場勾配のテンソルを 6 成分補償することで、 SNR の高い 2D-MRI を計測した。実現のポイントは、 4 チャンネルの 2 次微分型 LTS-SQUID を用い、それぞれのチャンネルから得られた画像を足し合わせることで SNR の改善と SQUID 感度範囲の狭さを補償したことである。静磁場と分極磁場は 130 m T と 0.65 T で、数 mm の分解能が得られている。この他、韓国の KRISS のグループからも超低磁場 NMR/MRI 計測において低温超伝導線材を用いた分極コイルと磁束トランスの研究に関する報告があった。
  9 月 18 日には、 Squid Application に関するポスターとオーラルセッションがあった。 岡山大学グループは、 AC 励磁と DC 励磁を組み合わせ、磁性流体からの磁化応答を、微分型銅コイルを用いた磁束トランスで検出する装置を開発した。 AC 励磁を行った際に、磁化応答の 2 次高調波や 3 次高調波についても計測して信号強度の比較を行い、最適な計測方法に関する検討を行った。また、同グループでは、 DC 電流を流した場合の太陽電池の発生磁場分布を HTS-SQUID グラジオメータで直接計測し、電池品質を評価する方法について検討した。豊橋技科大グループは、 HTS-SQUID 、もしくは SQUID と結合した常温磁束トランスを用いた超低磁場 NMR/MRI 装置の開発を行っており、 1 T のコンパクトな永久磁石を分極に用いて、キュウリの二次元 MRI 画像の取得に成功した。食品非破壊評価の実用化が目的である。台湾の MagQu は、アルツハイマーを微量血液から検出する SQUID 式の免疫診断装置を開発・販売しており、 4 チャンネルの磁束トランスを一つの HTS-SQUID と結合させた装置で、スループットを高めている。アルツハイマーの診断では A b タンパクと Tau タンパクを検出する必要があり、患者と健常者で A b 42 と A b 40 の存在比が明らかに異なる結果を示していた。現在病院と協力して多くの患者のデータを集めており、現状 80 %以上ある確かさをさらに高めてくことが期待される。ロスアラモスのグループは、癌の早期発見のため、微量な癌細胞を検出することを目標とし、磁気微粒子で癌細胞をラベリングし、これを ULF-MRI で検出する試みについて報告した。 MRI での癌検出は細胞数 10 5 ~ 6 が現状の限界であり、これを数ケタ改善したい。 f 50nm の磁気微粒子をコントラスエージェントとして用い、 7 チャンネル の LTS-SQUID システムにより CuSO 4 と NaCl を溶かした溶液の MRI 像を計測、現状で 2 mm × 2 mm × 4 mm 程度の分解能が得られている。フィンランドのグループは、 MEG 計測用の商用装置 ( LTS-SQUID を 100 チャンネル以上使用 ) を改良し、 MEG/MRI 同時計測を試みている。 SNR 増大のためには分極コイルの磁場強度増大が必要で、 Nb フィラメント超伝導線を用いた超伝導電磁石を開発し、 10 A で 20 mT の磁場を発生させている。しかし、この強度の磁場を発生させると線材に磁束トラップが発生するため、磁束トラップ排除のため、分極磁場発生後に振動する減衰磁場を与える工夫を行い、磁場強度を 30 mT 近くまで高めて NMR 計測を行っていた。超低磁場 NMR/MRI 応用では、全体的に研究の進展に少し行き詰まりが見られるため、超電導線材を用いた電磁石や磁束トランスの開発などによる大幅な SNR 改善などのブレイクスルーが現在期待される。( 豊橋技科大 廿日出 好 )