SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.22, No.3 Junel, 2013


 

北海道・石狩エネルギーイノベーションシンポジウム開催される          _ SUPERCOM 事務局_

 


 

 北海道、石狩市における高温超電導直流送電システムの実証研究に関する記事を前号に掲載したが、 6 月 15 日には札幌市のセンチュリーロイヤルホテルにおいてこの実証研究開始を披露する表題のシンポジウムが開催され、本事業の具体的な内容が明らかにされた。この実証研究は千代田化工建設、住友電工、中部大学、さくらインターネットの 4 者が中心となって石狩湾新港地域において行うもので、委託元は経済産業省である。シンポジウムおよびレセプションには 4 者の代表、道知事、石狩市長、数名の国会議員をはじめ、関連する企業の社員など 150 名以上が集まり実に盛大であった。図 1 はレセプションの様子である。

 

図 1 レセプションの様子(@ ルミナスホール )

 実施期間は 2013 年 4 月〜 2015 年 3 月の 2 年間で、 2 つの直流給電システムを構築する計画である。一つは太陽電池から、さくらインターネット社の石狩データセンターに給電する約 500 m 長のもので、もう一つは商用の交流電源から同データセンターを結ぶ 2 km 以上の長さになるものとのことで、ケーブルの送電容量はいずれも 50 MW 程度が予定されている。このような長距離直流超電導送電においての技術開発のポイントとしては、超電導ケーブルの熱収縮対策(室温から液体窒素温度まで冷却することによって全長が 0.3 %収縮)、長距離冷媒循環システムの構築、超電導線材の接続における均流化などが挙げられている。また、 2015 年度以降には北海道北部の日本海沿いの風力発電所や電力基幹線との接続を視野に入れており、さらに超電導送電技術をパッケージ化し海外展開する構想もあるようだ。
  システムの試験運転は 2014 年度中に始められる予定だが、世界初の実用的直流超電導送電の例となる可能性が高く、順調な建設と計画通りの試験の成功を期待したい。 (SUPERCOM 事務局補佐員 )