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SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.21, No.4 August, 2012

《会議報告》

11th International Symposium on High Temperature Superconductors in

High Frequency Field, [HTSHFF2012]

(2012.5/29-6/1@ 宮城県松島町　ホテル松島大観荘：主催 HTSHFF2012 実行委員会 )

　HTSHFF は 2 年に 1 度欧米で開かれてきた、高温超伝導体の高周波領域に関するコンパクトな国際シンポジウムである。 11 回目にして初めてアジア ( 日本 ) で開かれることが、 2010 年の米国サンディエゴの大会で決定された。日本で開くにあたり、震災の復興のサポートになることを念じて松島で開くことにした。この会議は、参加者全員が同じホテルに宿泊し、朝から夜までディスカッションを繰り広げ、研究の情報交換と親睦を深めることを目的としている。今回は約 70 名の参加者があり、講演数は４９であった。海外からは、米国、中国、韓国、ニュージーランド等から 12 名の参加があった。今回のシンポジウムでは主に、①高温超伝導薄膜のマイクロ波の基礎と応用、② HTS-SQUID の基礎と応用、③超伝導 THz 発信とその応用、④日本の超伝導エレクトロニクスプロジェクトの紹介、に分類される内容を集めた。その中で、印象に残った講演を幾つか紹介したい。①では、オーストラリアの James Cook 大学の Mazierska 教授が移動体通信基地局に超伝導フィルタを設置した場合の有効性をシミュレーションで示し、応用の可能性を示した。また、東芝の加屋野氏は気象レーダに用いる超狭帯域フィルタに超伝導フィルタを利用する応用例を紹介し、注目された。②では豊橋技科大の田中教授が High- T c SQUID を用いた金属異物検査技術について、 ISTEC の波頭博士は High- T c SQUID を用いた地下資源探索の実例を紹介した。様々な分野で SQUID が実用化されつつあることが印象付けられた。③の分野では、 NIMS の Wang 博士が高温超伝導の固有ジョセフソン接合から狭帯域のテラヘルツ波が発信されることを紹介し、また阪大の斗内教授は高温超伝導薄膜からのテラヘルツ波発振について発表した。④については、現在進行している 4 つの超伝導プロジェクトを紹介していただいた。名大の藤巻教授より単一磁束量子デバイスについて、名大の生田教授より鉄系超伝導薄膜作製と接合について、理研の高橋博士より高温超伝導技術を生かした NMR 開発について、名工大の有吉准教授より MKIDs によるテラヘルツイメージングについて。日本での超伝導エレクトロニクスプロジェクトの幾つかを海外の参加者、日本人に紹介できたことは有意義であった。
　本シンポジウムでは、参加者に 3.11 津浪被害と復興状況について情報を提供することも重要なテーマであると考えていた。 JR 東日本の林屋博士による特別講演「 Restoration of power supply system of high speed railway, SHINKANSEN, from the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake 」と、東松島市の被災地見学ツアーを実施した。津浪パワーの凄まじさを改めて認識させられた。
　今回のシンポジウム開催において、泉科学財団やインテリジェントコスモス財団をはじめとする多くの機関、財団等からサポートをしていただきました。紙面をお借りして感謝の意を表します。 (HTSHFF2012 実行委員長　大嶋重利 )

図 1. HTSHFF2012 の参加者写真