SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.19, No6, December, 2010


 

CaPt 2 As 2 も超伝導:鉄系の非磁性版か?              _岡山大学_


 日本物理学会 2010 年秋季大会 ( 大阪府立大学、 2010 年 9 月 23 日 ~26 日 ) において岡山大学の西窪氏らは CaPt 2 As 2 における臨界温度 5 K の超伝導を報告した。面白いことに、この超伝導は 470 K で生じる電荷密度波 (CDW) と共存する。詳細は J. Phys. Soc. Jpn. 79.12 月号 (2010) に掲載されている。
  系超伝導体の母物質は、フェルミ面のネスティングと電子相関の効果によって、反強磁性 / スピン密度波 (SDW) 状態に相転移する。
電子相関ではなく、電子ー格子相互作用が強くなってくると、フェルミ面のネスティングは電荷密度波 (CDW)/ 電荷秩序を引き起こす。
 今回報告された CaPt 2 As 2 は、まさにフェルミ面のネスティングと電子ー格子相互作用が効いている系で、鉄系超伝導体の非磁性版と位置づけることができる。銅酸化物における高温超伝導は、電子相関による反強磁性と電子ー格子相互作用による電荷秩序が拮抗した状態で生じるが、今回の結果は、鉄系でも両者が拮抗した状態を作り出せる可能性を示している。鉄系超伝導体の臨界温度はまだまだ上昇するかもしれない。 ( 井蛙 )