SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.18, No5, October, 2009

 


中国科学アカデミーが導体の出荷試験に合格!              _ITER_


 中国科学アカデミープラズマ物理学研究院(ASIPP)は、スイスのSULTAN試験所で超伝導Nb3Snケーブル−イン−コンジット導体(CICC)の試験を成功裏に終了した。中国の最初のトロイダル磁界(TF)導体サンプル(TFCN1)は、950回の励磁後においても10.78 Tのバックグランド磁界と68 kAの通電電流の下で6.9 Kオーダーの電流シェアリング温度(Tcs)を有する良好な安定した性能を示したと報じられている。当導体は、2010年出荷の予定である。( SuperconductorWeek誌2009年9月9日号Vol. 23, No. 14 )
 ITER通信部部長のN. Calder氏は、「SULTAN試験所でITERによって試験されているTF導体サンプルはTFコイルを巻線するために用いられたCICC導体のフルスケール短尺である。TFコイルは他のマグネットシステム(CS,PF,CC)との組合せで炉内の融合プラズマを閉じ込め、形づくり、制御するものである。SULTAN試験キャンペーンは、十分なマージンを維持しながら炉内の条件下で動作しうることを保証するための、素線と導体の品質保証上の重要な構成要素である。SULTAN導体試験キャンペーンは、今年6月3週間にわたって実施された。全ての供給者と国内の業者から来る全ての素線と導体は、SULTANにて同一の体系的試験プロセスを受ける必要がある。」と語った。ITER導体に責任を持つプラズマ物理学研究院技術者のY. Wu氏は、「CICCの仕様書は、ITERの仕様書と同じである。近くTFCN2と呼ばれるもう1つのテストサンプルが届くだろう」と言った。
 当マグネットの動作マージンを決めるCICCのTcsは、SULTAN試験所でTF導体に関して記録されたもののうち最高の部類にあると報じられており、ITER炉に使われるサンプルを作るのに用いられる素線のタイプ、ケーブルジャケット設計および加工法の組合せの全てを品質アップしなければならない。性能資格付与は、ITERの調達手続きの実行に必要不可欠であり、中国がTFコイルためにCICCの7.5%分の製造開始が可能になるだろう。それは5つの760 m線材と415 m長ダブルパンケ−キ1単位に対応する。
「TF導体素線に対する中国国内委員会の貢献は、およそ25 Mユーロ(36 Mドル)であり、其の全ては2013年までに出荷されると予想される。」とCalder氏は付け加えた。TF導体のSULTANサンプルは2008年に製造され、2008年10月にSULTANに出荷された.TFCN1用のCrメッキされたNb3Sn素線はOxford Science Technology(OST)によって供給された。そのケーブルはBaosheng Science & Technology社によって製造された。ジャケット用のステンレス管はBaoshan Iron & Steel Co.が製造し、ケーブル挿入と導体成形などのCICCへの統合は科学アカデミー自身が実施した。導体サンプルの熱処理、諸部品の組み立て、計測器具の整備はSULTANが担当した。
 科学アカデミー研究院は、中国のITER超伝導技術開発を担当し、その技術の基盤を中国科学アカデミーのExperimental Advanced Superconducting Tokamak (EAST)建設期間中(2006年完成)に開発された技術成果に置いている。Wu氏は、最近のCICCとEASTとの関係を説明した:科学アカデミー研究院は、超伝導CICC技術とマグネットのすべて、安定性解析、設計、製作、試験を含めて開発した。EASTと共同して運転も担当した。 (高麗山)