ITERは、超電導磁気閉じ込め方式の核融合炉を建設する国際プロジェクトの日程提案を発表した。当提案は、ITER建設及び業務委託の各ステージに於ける実行を指示する。ITERの稼働は、2018年の最初のプラズマ発生とともに始まる。その時には全ての重要な部品即ちホットプラズマを閉じ込める超伝導マグネット、真空容器と当マグネットを冷却する極低温システムは所定の位置に設置されている。他の全ての部品は続く数年の間に次第に追加され、最終目標のITERは2026年までに重水素及び三重水素による電力を発生するプラズマを準備することになっている。(SuperconductorWeek誌2009年8月5日号Vol. 23, No.13)
ITER通信部部長のN.Calder氏は、「2001年まで遡及する当初の考えでは、全ての部品を設置する事であった。しかしながら、ITERはパワーポイント提案から大分変わっており、その後の検討で実機を造る唯一の方法は各ステージの中にある事が明らかとなった。」と語った。さらにCalder氏は開発の進んだ段階についてコメントした。「この融合炉は、2018年の最初のプラズマの発生とともに機能し始めるだろう。多くの部品はそれが完全に完成した状態に似た状態で運転が可能である。しかし、ITERは2026年に重水素と三重水素による運転開始まではエネルギーゲインは産出しない。2018年から2026年の間に、我々は検査機器、マイクロ波及びプラズマの温度を上げる粒子線加熱システム、融合反応からの中性子を吸収する真空容器の内部壁上の金属ブランケットと消費した燃料を排出する為のダイバーターを設置するだろう」と語った。
　英国の核融合計画の責任とヨーロッパ共同トーラスの運転に対してユ?ラトム代表として責任を持つ英国原子力委員会Culham研究所の所長であるC.L. Smith氏は、「確実な時間表を維持する事はきわめて重要である。2018年に固執する事は、単に政治的に重要であるだけでなくモラルとしても重要であると強調した。世界は、2018年が現実的な目標である事を確信する必要がある。これは沢山の困難な仕事を要求する―　一方はITER組織の、他方は国内諸機関の。彼等は、非常に緊密に共同しなければならない。」と語った。
　ITER理事長の池田氏は、「全ての大きなトカマクは各段階で建設された。これはより良い且つリスクが少ないアプローチである。何かある事項が間違って進んでもそれを止めて修復する事が可能である。」と詳細に説明した。Calder氏は、「日程がずれる恐れがあるにもかかわらず全てのメンバーは近年同じページ上にいる。ITER共同体の全員は、ITERの建設の決意を繰り返し強調してきた。全員は、最初のプラズマを2018年に実現し、2026年までに重水素及び三重水素による電力を発生する事を誓っている」と付け加えた。
　ITER費用出資の45%を供給するヨーロッパ委員会(EC)は、提案された建設日程を歓迎している。ヨーロッパ委員会は、ITER建設の完成に向けた期間区分的アプローチとITER組織の管理査定を行う査定者の選任を支持した。ヨーロッパ委員会は、ITER建設の現実的な日程を定める事はプロジェクトを健全に管理し、ITERを最もコストが少なく効率的に運営する為に極めて重要である。EUの科学研究局長のJ. Potocnik氏は、｢日程をたてる事は正しい方向での重要なステップだが、なお沢山の条件が満たされなければならない。国際的パートナーと一緒に、信頼できるコスト評価を獲得できるよう我々の仕事を強化しなければならないだろう｣と語った。
　別の発表の中で、ITERは共通の理解とトロイダル導体の米国分担に関する同意の下1つの協定がITER国際組織と米国組織の間で署名された事を明らかにした。この協定は、米国ITER組織が超伝導素線の供給に応募する方法を明らかにしており、それは既に繰り返し実行されてきたプロセスである。米国の分担分は供給される全体コイルの7.82%に相当する。この分担分は、重量が31トン、7 kmの超伝導線材に上る。契約額は36 Mドルである。ITERのTFマグネットシステムは、18個のコイルと1個の予備から成り立つ。TFコイル導体は、純銅素線が混じった超伝導性Nb3Snベースの素線から成り立つ。
　Kiswire会社は、最近ITERのTFコイルの為に28トンのNb3Sn線材の製造を開始した。Calder氏は、TFコイルの為の2件の調達がこれから署名されるべきものとして残されていると語った、1つはマグネット構造体でありもう1つはマグネットの圧縮リングである。　 (こゆるぎ)