SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.18, No5, October, 2009

 


超電導方式の電気パイプラインが米国初の再生エネルギー市場ハブとして採用が決定!     _AMSC_


  American Superconductor Corporation(AMSC)は10月13日、超伝導方式電気パイプラインがTres Amigasプロジェクト −米国初の再生エネルギー市場ハブに選ばれたと発表した。超伝導方式電気パイプラインは、AMSC社製高温超伝導(HTS)線を用いて作られる直流(DC)超伝導電力ケーブルと高電圧AC/DCコンバーターで構成される。Tres Amigasプロジェクトは、再生エネルギーを早期に採用し、送電系統の信頼性を向上させる為に米国の3つの送電系統を初めて統合するものである。(BUSINESS WIRE 2009年10月13日)
 米国の3つの送電系統 −即ち相互連携は、東部相互連携、西部相互連携及びテキサス相互連携として知られている。これら3つの系統内の電力輸送は主として交流(AC)送電系統を利用して行われている。しかしながら、相互連携のいずれの2つの間では特別な電力電子変換所を通してしか実行出来ない。これは普通最初に1つの系統のAC電力を副変電所にて中間的電力形態のDCに変換し、そして隣接の系統に到達する前にDCからACに再変換する。これは実際電力の流れを同期させる働きをする。今日2つの相互連携の間にはいくつかの相対的に小さな相互的DCリンクが存在しているが、全て3つの相互連携が1つのシステムに統合される事は未だかってなかった。
 Tres Amigas再生エネルギーマーケットハブは、数10マイル長の3角形形状の超伝導電気パイプラインになるだろう。このパイプラインにより数十GWの再生エネルギー電力を3つの相互連携系統間で移送し、バランスを取る事が可能である。交通量制御のため使用されるハイウェイロータリーと同様に、多本数の電力輸送ラインはお互いに超伝導DCケーブルで連結された多数のAC/DC変換器を介してTres Amigas変電所に電力の出し入れを行うだろう。Tres Amigasは、3つの送電系統内の多数の再生エネルギー源から米国、カナダ及びメキシコを含む広い領域の顧客への能率がよく信頼性が高い電力の流れを保証するだろう。
 Tres Amigas社主席執行役員のP. Harris氏は、Tres Amigas変電所の概念を独創した。Harris氏は以前PJM相互連携(14州にサービスを提供する世界最大の電力の位相と平衡作用を司る容量240,000 MWの管理領域である)の主席執行役員であった。「再生エネルギーに電気市場を真に開放する為に、我々は米国の電力輸送を高めなければならない。Tres Amigasは、グリーン電力が地域から地域への移送が可能になるように、米国の3つの送電系統を相互に結合する事によって再生エネルギーマーケットハブとして役に立つ。当システムは又、米国の電力供給に対して新しい次元の信頼性と安全性を付け加えるものである。
 Tres Amigas変電所は、今日は出来ない米国の3つの送電系統間に於ける電力の売買を可能にしながら電力市場のハブとして機能するだろう。近年送電系統や最終顧客に対するアクセスを持たない風力、太陽光、水力、地熱などの再生エネルギー源は、Tres Amigas変電所を介して多数の市場への入り口を持つ事になるだろう。例えば、太陽光エネルギーが豊富な地域は、太陽が照らない夜間には風力エネルギーが豊富な地域から電気を買う事が出来るだろう。商人的送電システムとして、Tres Amigasは電力ハブの使用料金を徴収するだろう。
 Tres Amigas再生エネルギーマーケットハブは、米国の3つの送電系統にアクセスを持つ地点であるニューメキシコ州、クロビス市に建設される予定である。ニューメキシコ州立土地事務所は既にTres Amigas、LLCにクロビス市内の土地14,400エーカー(約60 km2)を賃借する権利を与えた。Tres Amigasは、現在連邦エネルギー管理委員会(FERC)にテキサス相互連携からTres Amigasをつなぐ送電線がFERCの管轄下に入らず、Tres Amigasが商人的自由交換媒体として運用するべきという申請書を提出中である。 (事務局取材記事)