SUPERCONDUCTIVITY COMMUNICATIONS, Vol.18, No4, August, 2009

 


LSケーブル会社からHTS線を受注! _AMSC社_


 AMSC(American Superconductor Corporation)は、LSケーブル会社から80,000 m長の同社2G高温超伝導線(ブランド名344超伝導線)を受注したと発表した。LSケーブル会社はこの線を用いて22.9 kVケーブルシステムを製作する予定である。このケーブルシステムは、2010年ソウル近傍に韓国電力会社の商業用送電網を設置するために使用される。それは、単一の2G HTSの商業注文としては最大であると報道されている。(Superconductor Week誌2009年6月13日号, Vol. 23, No. 8)
 AMSC社は、当取引の会計的詳細についてはコメントするのを避けている。契約の諸条件の下で、AMSC社は2009年末までに線材をLSケーブル会社に出荷する。LSケーブル会社はそこで線を50 MWの電力を輸送できる超伝導ケーブルシステムに撚り上げる予定である。当ケーブルシステムは長さが2分の1マイルに近く、世界で最長の配電用超伝導ケーブルシステムになろう。それは、2010年の中ごろまでに設置され、2010年末までにソウル最大の衛星都市の1つで送電を開始することになっている。
本プロジェクトは、超伝導システムの開発と商用化のために100 Mドル以上を供給してきた応用超伝導技術(DAPAS)プログラムによる韓国の先進電力システム開発に基礎をおいている。2006年、LSケーブルと韓国電気技術研究所(KERI)は、30 m長の22.9 kV超伝導ケーブルのテストに成功した。2007年には、両者は100 m長の22.9 kV超伝導ケーブルシステムのテストを完了した。これら両プロジェクトは、AMSC社の1G線によって電力の供給を受け、DAPASプログラムから資金援助を受けた。
 投資及びメディア関係担当役員のJ. Fredette氏は韓国のHTSケーブルの潜在的市場性についてコメントした:「これについては正確な統計は持っていないが、市場の機会は結構なものであると思う。KEPCOは、超伝導の諸プロジェクトに次の5~8年にわたって毎年500 Mドル以上を費やす計画と言っている。」
LSケーブル会社執行役員のJ.H. Cho氏は、「超伝導電力ケーブルは、21世紀の韓国大都市への電力供給において主要な役割を担おう。AMSC社の20年に亘る超伝導界のリーダシップ及びLSケーブルの過去の超伝導ケーブル実証に対する貢献と同社の新しい344超伝導体の強さに基づいて、このケーブルプロジェクトに関して同社と共同することを選択した。我々は、超伝導ケーブル技術に対して10億ドルを稼ぐ機会を見ており、AMSC社及びKEPCO社との同盟はLSケーブルの市場におけるリーダシップを確立すると考えている。」とコメントしている。KEPCO社役員のK. Ssang-Su氏は、「世界中の多くの国と同様であるが、韓国も電力需要の急増を経験しており、その需要を満たすためますます新しいエネルギー源に頼っている。我々も超伝導ケーブル技術に大きな可能性を見ている。」と付け加えた。
「この商用線材注文は、超伝導体工業に向けての重要なステップである。この種のものとしては最大である上に、わが社の344超伝導体はUS国外の商用系統に設置される最初のケーブルに電力を送るのに使用される。わが社の韓国における超伝導ビジネスにとって強い成長機会を展望でき、工業リーダーであるLSケーブル及びKEPCO社とこの重要なプロジェクトで共同できるのはうれしいことである。」とAMSC超伝導体会社副社長のD. McGahn氏は語った。
 AMSC社は、2007年遅く自社344超伝導体のパイロット製造ラインを査察・認可した。線材は、製造コストを削減する専業の幅広ストリップ・アプローチを用いて製造されている。AMSC社は、Hydraプロジェクトのような国内プロジェクトとは異なって、現時点でそれはSouthwire's Triax Cableとは関係していない。LSケーブルは自社自身のケーブル設計を持っているからである。Fredette氏は、AMSC社、LSケーブル、KERI間の将来の共同化の可能性について、「我々は更なる共同化を予想している。LSケーブルは我が社の344超伝導体の力強さと過去数年間に亘る健全な共同関係の故にこのプロジェクトの為にAMSC社を選んだ。20年以上に亘る超伝導技術の市場指導者として、AMSC社はこの画期的なプロジェクトに沿ってLSケーブル及びKERIに対する選択肢の供給者としてきわめて有利な位置にある。」とコメントした。
 AMSC社はまた、最近上海電力ケーブル研究所(SECRI)との同盟関係を、配電電圧ケーブルを包含すべく拡張した。Fredette氏はAMSC社のアジア市場への拡大について、「中国及び韓国は彼らの送電系統を現代化して急増する電力需要を満たす為に超伝導電力ケーブルの広範な採用に向けて野心的に突き進んでいる。我々の既存のLSケーブルとの関係と最近拡張したSECRIとの同盟の故に、AMSC社はアジア太平洋地域に投資するのに有利な位置にある。」とコメントした。         (こゆるぎ)